佐久間



テストの用紙を裏返して大きな音を立てないようにシャーペンと消しゴムを筆箱に押し込んだ。カンニング防止のために終わった人以外は、筆箱にすら触れない。窮屈だなぁ、と思いつつ先生の顔をチラリとみるといつになく険しい顔をしていた。こういう雰囲気はあまり好きではない。寧ろ苦手だ。

カチ、カチ……カチ……。無音の部屋でやけに時計の音がやけに大きく耳に響く。普段、溢れかえっている賑やかな声は一つも聞こえない。話し声すらも聞こえないこの異様な、感じにあわせて息を潜める。


この張り詰めた重たい空気と沈黙のせいでやることも制限されていて、終わった私には暇で、暇で仕方がない。最初は空を眺めていたのだがなんだか飽きてしまった。単調な青い空と、たまに通る人と車……見ていて楽しいものは無い。やることがない。このピリピリとした空気には慣れない。どうせなら、前の友達と話したいのにテストのせいで随分と前に離されてしまった。目の前にある友達の背は少し猫背気味に曲線を描いている。



ふ、と視線を感じて普段、隣の席の佐久間君を見やる。彼も終ったのか暇そうにだらりと机に突っ伏してこちらを見ていた銀髪の長く細い髪が机に広がっている。多分その辺の女子よりよっぽど綺麗。ペンギンが大好きという可愛いところもあるし。そのくせ、ちょっと口調は乱暴だけど。ああ、勿体無い勿体無い。勿体無いおばけが出てしまうよ。眼帯で覆われてしまっていて、片目だけだがパチリ、と視線が一瞬交わる。佐久間君は口角を持ち上げて笑った。あぁ、余裕ってことですね。羨ましいこと。終わったら、ちょっと聞いてみようかな。私より、随分と先に終わっていた様子だし。私の観察をするほど余裕だってことみたいですし……?

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