鬼道



お昼寝るのが大好きだ。考えたりしなくていいし、何よりもとても気持ちがいい。学校だって、そうだ。お昼と食べた後は死ぬほど眠たいし……。あまり好きではない授業の日は、一番前の席だというのにもかかわらず寝てしまったこともある。勿論、先生にそのあとは苦笑いされながら起こされたのだが……。その日は恥ずかしくて仕方がなかった。友達にも笑われてしまうし……。暖かい日差し。ゆっくりとした時が流れる休みの日は大好きだ。



今日はいつにも増してとても日差しが暖かくて絶好のお昼寝日和だ、と思う。欠伸を口の中で噛み殺してベッドではなく机に伏せて仮眠する体制に入る。ベッドに寝て酷い目にあうのはもう、沢山だ。少し、堅い椅子の下には柔らかなクッションをひいて準備は万端だ。すると、やはり彼氏である鬼道が咎める。「おい、そんなところで寝ると風邪引くぞ」眠たいせいで掠れた声になってしまったが返事をする「大丈夫だよぉ、暖かいし」空には大きな太陽が一つ顔を覗かせている。雲はまばらで太陽を隠さず暖かな陽を運んで、窓ガラス越しに熱を伝える。「……ふっ」勝手にしろ。といって小さく笑いながらあいつは部屋から出て行ってしまった。……眠たい。大きなあくびを一つ。一眠りしようかな。今日は咎める人も居ないし。



目が覚めた時には、辺りは少し暗くなっていた。当たり前だが鬼道の姿はない。……何も言わずに帰っちゃったのか、と少しだけ寂しくなったが最初に鬼道を放って、お昼寝モードに入ってしまったのは私だから文句はいえない。茜色の窓辺に目を細めた。今が何時なのか。ただ、外から聞こえてくるカラスの鳴き声に耳を傾けることで、恐らくは子供が帰る時間なんだ、と予測できた。それからすぐに、見慣れた鬼道のマントがかかっていたのに気がついた。いつも羽織っている人だろうとすぐにわかった。「……鬼道……」直接、何も言ってこないけれどやはりなんだかんだで彼は優しい照れ屋さんだと思う。ギュとそれを抱きしめると、やっぱり鬼道の匂いがした。

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