RPG



今日学校で芸夢が、私がやりたがっていたゲームを貸してくれる、と言ってくれたので芸夢宅に来たわけだが……。「ちっ、またエンカウントかよ!」少しイラつきながら、テレビ画面に釘付けの芸夢にため息をついた。私は……放置プレイですかぁ……。勝手に探せ、とのこと。仕方なく、私が積んであるゲームを少しだけ崩した。本当に色々なゲームがあるものだ……。中古屋にすら置いていないようなプレミアがついているゲームもあるから、侮れない。芸夢恐ろしい子。今手に取っているゲームなんて、万単位だったはずだ……。私は、傷つけないように細心の注意を払って床に置いた。


「あ、これ」私が借りる予定だったゲームとは違うけれど、最近発売された人気のRPGゲームで私もやりたかったやつだ。ゲームに熱中している芸夢の背中越しに聞く。「芸夢〜、これやってもい〜い?」芸夢は相変わらずテレビ画面を食い入るように見ていて、こちらに見向きもしない。「あ〜……?積んでいるゲームは、適当にやっても構わないぞ」私はそれを聞いて、自分の携帯ゲーム機を取り出しそれをセットした。電源を入れると、オープニングの軽快な音楽が流れた。それが聞こえたのか、芸夢がこちらに振り返った。テレビの画面で芸夢のキャラが敵に叩かれている。だが、それを気にも留めない。「あ、待てっ!それは、だめだっ!」「……?」芸夢がとめるのが時すでに遅く、もうデータをロードしてしまったところだった。しかも、必要以上に留めてくる芸夢のせいで余計に気になってしまった。


芸夢が取り上げようとするのを華麗によけつつ、データを見る。「えーと、何々。主人公コノム……」あー、なるほどね、自分の名前をつけちゃっているから恥ずかしくて私には見せたくなかった、と。芸夢には悪いが、少し芸夢を見る目が変わった。芸夢は諦めたのか、先ほどまで芸夢がやっていたゲームの電源を落とした。仲間に目を向けると魔法使いモエと書いてあった。他にも、剣士やら何やら沢山いるが全て、サッカー部の人たちの名前が書いてあった。


「ん……?」しばらく仲間を見ていたら、一人だけ女性のキャラがいたのが目に入った。いや、それだけならば別にこんなに引っかからないのだが……名前が、私の名前なのだ。確かこの女性のキャラは、このゲームのヒロイン的存在で最終的に、主人公と結ばれるとかなんとかそんなことをネットで見たのだが。勿論私は、このゲームを持っていないので大まかなことしかわからないし、何より間違っているかもしれないが。流石にこれには黙っていられなかった。「ねぇ……芸夢。これ……」「うるさい……」いつもよりも覇気のない声だ。私に背を向けていて、顔は見えないが耳が赤いのが見える。あー……。これからどうしろというのだ。これでは、私が悪いみたいじゃないか。

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