僕らは極彩色の中にいる




(・ベータちゃんに首ったけ)


ベータちゃんは格好可愛い!本当どうしていいかわからないくらいに、私はベータちゃんにべた惚れなのだ。いいところを連ねればきりがないので割愛させてもらうが、兎に角私の世界と言うものはどうやらベータちゃんを軸にグルグルと休むことなく回転を続けているらしい。最初はこれが敬愛や尊敬の念だと思っていたのだが、どうにもドクドクと煩く脈打つ心臓が駆け足で、ああ、そうか。これが恋なのかと気づいたときには時すでに遅し。私は、ベータちゃんに想いを告げる事を同性だからとかそういうことを憚らずに告げてしまっていた。「ベータちゃんが大好きです!!」それも大声で他の仲間に聞かれていたがそんなことお構いなしにベータちゃんに向かって叫んでいたのだ。ベータちゃんはニィと口角と持ち上げて「そうですか」とだけ言って嫣然と微笑んだのだ。エンジェル!まさに、その例えが相応しいだろう!



それからというもの、私はベータちゃんに首ったけ!毎日、お弁当とお菓子と飲み物にタオル全てを用意させてもらっているし、もうお前は選手じゃなくてベータちゃん専属のマネージャーに成れと言われるほどに尽くしていた。「ああ、今日も麗しい」「あれの、何処がいいのか純粋に疑問だね。暴力的で怖いじゃないか。アルファもそう思うだろう?」「イエス、猫かぶり」ベータちゃんを貶す奴は許せない!例え上司であろうとも、許すわけにはいかない!ベータちゃんの気性の荒い面でもうつっちゃったのかな?私は二人を蹴りあげていた。勿論、その後反省させられていたが。罰として一人でボールの片付けと磨けと命じられてしまったので反論できずに仕方なく任務を遂行していた。



「はぁ!何で私がっ!アルファ様とガンマ様が悪いんじゃないか!ベータちゃんは私のエンジェルだというのに、暴力的〜だの猫かぶり〜だの!本当わかっていない!」キュッキュ、とタオルでボールを磨きながらベータちゃんに惚れた理由を思い起こしていた。あれは、とても単純だったのだが……セカンドステージチルドレンとの討伐の時に、私とベータちゃんと仲間たちで戦っていたのだが私が若干へまをしてその場に倒れ込んだ時に襲い来るコンクリートの塊が超能力で降ってくるのをベータちゃんがボールを蹴りあげて、ぶつけ破壊してくれたのが始まりだったりする。その時、砂塵が舞い上がる中ベータちゃんだけが鋏で切りぬかれたようにキラキラ王子様、お姫様に見えたのだ。



「てめぇ!俺の仲間に手ェ出すんじゃねぇ!名前大丈夫ですかぁ?」柔らかな声にドクドク脈打つそれ。「は、はひぃ」なんて間抜けな声と呼気が漏れた。ベータちゃんはくすっと笑ってボールをまた、蹴りあげてセカンドステージチルドレンにぶつけ化身を出して追い払ってくれたのだ。とまぁ、回想は此処まで、やっとボールを磨き終えた。うん、我ながらピッカピカだ。これでベータちゃんに逢いに行けると、立ち上がるとウィーンと倉庫の扉が開いた。ベータちゃんが「まぁ、こんな所に居たんでしたの?」「あ、はい……ガンマ様とアルファ様に暴力振るっちゃったんで」頬を指先で軽く掻きながら、困ったように破顔して見せた。「名前が……?まぁ……でも、あの野郎どもを殴ったりけったりしたってことは何かあったんでしょう?」ベータちゃん鋭い。



事の経緯を喋ってみるとベータちゃんはうんうん、と頷いて。あの野郎ども……と握ったこぶしを震わせていた。「で、でもベータちゃんが悪く言われるの、嫌で私……」「名前……貴女って子は、私の為にそこまで……、」ベータちゃんがいい子いい子と撫でてくれた。そして、辛かったでしょう。この罰は。と言って抱きしめてくれた。ふんわり良い匂いがして私の鼻孔を擽った。一つ一つの言の葉だけで一喜一憂してしまうのに、こんな事されてしまえば、私はベータちゃんが好きなのに……頭が可笑しくなってしまいそうだ。まるで、ぐらぐら湯だっている様に頬が紅葉色に染まっていく。「あの、ベータちゃん」「ふふっ、名前は可愛いと私は思いますよぉ、一途で私だけを」これからも見ていてくれますよね?私だけを。麻薬の様にそれは体に染みわたっていって快楽信号を送る。



唇をなぞる指先は、魔法仕掛けのように。そこに熱を与えていく。「べ、ベータちゃん、私……、私……ベータちゃんしか見えないよ。ベータちゃんしか見たくない。これからも、今までも、あの日から私にはベータちゃんしかいないの」大好きって言葉はベータちゃんの唇に飲み込まれていった。ああ、柔らかい唇。それが離れるとき、熱い吐息がかかって「どうやら、私も名前が好きに成っちゃったみたいですよ?」ほら、とベータちゃんが左胸に手を重ねさせるとドキドキ心臓の音が私と同じくらいに逸っていた。「!」「だから、今日から名前は私のものですからぁ。覚悟していてくださいね」ちゅっ、とまた触れた唇は角砂糖よりも甘い。


Title カカリア

あとがき

甘くしてみました。塩対応でもよかったのですが、百合が好きだったので。ベータちゃん大好きです。


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