あなたの隣の白昼夢



ドミトリーさんはこう見えてもとっても優しいんだよ!私の我が儘にも付き合ってくれるし、ドミトリーさん大好きなんだけど、中々伝わらないんだ。今日も行き成り後ろから抱き着いてみたけど涼しげな顔でそれを受け止められてしまった。大きな背中は頼りに成る、流石キャプテンって感じ。でも、動揺してくれないのはちょっとだけ残念。毎日やっているから慣れちゃったのかな?最初は目を見開いて「何の用だ?」なんて言われたけど。拒まれはしなかった。てっきり拒まれると思っていたから私の方がびっくりしちゃった。



それから、私は毎日ドミトリーさんに逢いに行く日々が続いた。なんでもサッカーで忙しいらしいけれど、それでも私を疎まずにいてくれるところが本当に優しい。普通だったら、疎ましいとか鬱陶しいとか言ってくるんだろうなあ、と思いつつ優しいドミトリーさんの肩に頭を預けて「少しだけこうしていていいですか?」って尋ねた。答えは何も言わないけれど、退かさない所から、いいってことにしておこうと思う。私は静かにその瞼を閉じてドミトリーさんの、体温を感じていた。少し低体温みたいだけど、その代り心がとっても温かいんだから!ってユーリとかに言ってみたら「キャプテンより僕の方が温かいと思うけど」とか言われた。もうユーリ何か知らない!



どうやら少し眠っていたらしい、空気がツンと冷たくなっていた。だけど、私の上には何故か服がかけられていた。ドミトリーさんは何処に行った?!と慌てたら私を見て、ククッと喉で笑うのが聞こえた。見上げればドミトリーさんの顔が上にあって、私の頭は固いドミトリーさんの鍛えられた膝の上にあった。所謂、ひざまくらだ。うわああ!ってなって一気に起き上ったら立ちくらみを起こした。「ふっ」あの特徴的な八重歯が見えた。「笑わないでくださいよ!吃驚したんですから!なんで急に」「さあな」やっぱりドミトリーさんは優しいです。



今日は前から突進!クッキーを焼いて来た!勿論ドミトリーさんに食べてもらうために!他のメンバーにもちょっとだけあげたけど。すりすりと猫の様に擦り寄って、ドミトリーさん、口を開けてくださいと言うと自分で食べるというので、無理やり、詰め込んでみた。ドミトリーさんは眉を少しひそめたが、直ぐに咀嚼を初めて、ゴクリと飲みこんだ。「美味しい?!ねぇ、どう?」「……うまい」よかった!この後練習があるから見ていけと言われたので、私はドミトリーさんの応援を控えめにしながら(邪魔に成らない様に)終えるのを待った。


ピーッとホイッスルの鳴る音が鳴って、皆が集まってくる。ドミトリーさんはキャプテンだから皆の駄目な所良かったところを指摘して、皆を奮起させているようだった。早く、こっちに来てくれないかなぁ?あ。戻ってきた。「待たせたな」「大丈夫です!ドミトリーさん格好良かったです!」はい、タオル!と渡して少し拭いたのを見て、前触れも無く今度は前から抱き着いてみた。「っ!」「……ちょっと汗臭いです」でもドミトリーさんの匂いだと思うとなんだか幸せです。「当たり前だ…、シャワー浴びてくる。それまで待てないのか、名前は」「待っています!」



時間きっちりに帰ってきた、ドミトリーさんは少しだけ濡れていたので私が上からごしごしと拭いてあげた。サッカー以外には結構、無頓着な所がある。そこがまた、愛しかったりするのだけど。「いい匂い」「……俺の好みじゃないな」どうやら、フルーティーないい香りはドミトリーさんの好みじゃないみたい。私は好きなんだけどなぁ。同じの使ってみようかなってこっそり思案する。ドミトリーさんはきっと、もっと爽やかな香りの匂いの奴が好きなんだろうな、今度一緒に買いに行きたいな〜。



「ドミトリーさん、ドミトリーさん!大好きです!」「……ああ、知っている」ドミトリーさんは何でもお見通しだ、でも、いつも本気にはしてくれない。抱き着いたまま離れない私をあやすように手で撫でながら八重歯を見せて笑う。何で、私の事わかるんですか?って聞けば、そうだな、お前と同じ気持ちだからかもしれないな。ってはぐらかされた。ドミトリーさんはこういうときちょっとずるい。でも、耳が赤いのを見て、ああ……嘘はついていないんだなって思った。

title カカリア


あとがき
ドミトリーさんがわからなかったです。あと甘えるっていうのもよくわからずに玉砕しました。楽しんでいただければ幸いです。

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