ショートケーキ戦争




(夢主をドロドロに甘やかすヒロト。イナズマジャパンが微笑ましく見る(一部はゴミの様に)。)


ヒロトと言う男は、まぁ、所謂名前と恋人と言う存在である。だから、たまに惚気てみたり、それっぽいことをしていても可笑しくないのだが、ヒロトの愛情と言うものはとても、ドロドロに溶けたビターチョコレートみたいなもので、名前を必要以上に甘やかしてくるのだ。これには、名前も少し勘弁してもらいたいと思っていたのだが、そんな思いも届かないのかヒロトは今日も名前を甘やかす。しかも、いつものように恋人なんだから当然だよね、と言わんばかりにイナズマジャパンの連中に見せつけるようにやる。恐ろしい男だ、虫よけの効果もあるから、と名前を無理やり絶対零度の笑みを浮かべて、仕方なく受け入れさせているのだから。



「ほら、喉渇いたでしょ。マネージャーも疲れるんだから、ゆっくりしてよ、ね?」そう言って肩を揉みながら(普通逆だと思うのだが)もみもみと名前の方を揉みだした。名前は皆の前だから控えめに体を縮こまらせながら靉靆とした空を眺めながらドリンクを口にしていた。「いやぁ、名前とヒロトって仲がいいよなぁ!」守は嬉しそうに見ていて、秋なんかも「あんなに、愛されているなんて羨ましいなぁ」なんて言っている。愛と言うか愛と言う言葉以上の言葉が存在するならそれだと思うのだが、色々と超越している。



「ああ、そうそう。この間欲しいって言っていた、ミサンガ買ってきたから。一緒に付けようね、そうすると名前と自分がいつも一緒な気分がして幸せなんだよ。試合中でも名前に力を貰っている、そんな気持ちに成るよ」そういって、早速!と言ってピンク色の女の子らしいミサンガを腕に括り付けた。ヒロトは色違いなのか赤いミサンガを古いミサンガを取り払って、自分に括り付けた。「う、うん……、有難う。でも、今じゃなくてもいいんじゃないかな……、」名前は時と場所と時間を選ぶべきだと主張した。



確かに今は、まだ二人きりではなく外野が居る。守に秋はいい。微笑ましく見守っているのだから。……イナズマジャパンのメンバーたちが。それに、ヒロトは気が付いていないようだったが、一部がゴミのような目で見ているのだ。その人物は虎丸や修也だった。こんな皆が見ている前でやるな、とかまるで生ごみ(それも腐って異臭を放っている)でも見るような目で見ていることがチラホラある。ヒロトは単純に気にしていないのか、それとも知らないのか、知らないふりをしているのか咎めることも無ければ、言い返したりしなかった。



「だって、これが愛情だもん、ね?名前」「でも、また豪炎寺君や虎丸君が凄い目で見ているよ。虎丸君に至っては将来絶対間違ってもこんな奴にはならないって目つきしている」純粋な子供のはずが、私たちのせいで汚れて言っている気がすると抗議して見たが、やっぱり、温和な笑み一つでかき消されてしまった。それが何を含意しているのか名前はわかっているので、それ以上言えなくなってしまった。「別にいいじゃないか、小学生だから、まだまだ、大人の愛ってものを知らないだけだよ。そのうちわかるさ」なんてのんきな構えを見せている。そんなわけないと名前は思ったがその口を噤んだ。何も休憩時間にやる必要はないんじゃないかなと心の奥底のほの暗い部分で思っていたが。



何故ならばヒロトに何を言っても無駄だからである。「あ、そうそう、美味しそうなチョコレート見つけてきたから一緒に食べようね」そういって、市販されているチョコレートの箱(の中でも少し高価そうなもの)をみせた。「はぁ」何処からかため息が聞こえてきた。虎丸だった。「ああは、成りたくないですね」「それに関しては同意だ。時と場所と時間を考えるべきだ。今はただの休憩時間だ、おい、そろそろ休憩時間終わりでいいんじゃないか?」そういって、修也が守に言ったが、守は別にまだいいんじゃないか?二人とも仲良さそうだし。と言って俺らだけで先に始めようぜ、サッカー!と言った。



そんなんでいいのかキャプテン!と二人は思ったが、大半の座ってドリンクを飲んだりタオルで汗を拭いていた選手たちが立ち上がった。どうやら、殆どのメンバーは公認しているらしい。自分たちがマイノリティだと気が付いた修也と虎丸はそれでも認めないぞ……ともやもやと暗雲が立ち込めた様に思いながらも、立ち上がる。全く、早く、いちゃつくのをやめて、練習に戻ることだなとヒロトに吐きつけて。


あとがき

ドロドロの部分が難しかったです。誰に蔑ませるか悩みましたが、虎丸と豪炎寺にしてみました。お気に召してくだされば幸いです。


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