魔法のゲーム




(・有野くん(聖堂山)とギャグ)



有野君はあまりゴールに執着していない。いつも自分の描くボールの軌道に酔いしれて美しい軌跡だったとは思わないかい?!とか問い詰めてくるのでとってもうざったい。何が美しいだ。仕舞には録画してなかったかい?とか写真に収めてくれてもいいんだよとナルシスト全開のこと言い出し始めるので、あきれてものも言えなくなってきてしまった。黒裂君に、あれを何とか出来ないかと相談したところ。いやぁ、最終手段はあるにはあるんだけれどね、と何処か困ったような様子で言うので、最終手段があればいいかと取り敢えず我慢することにした。



一応言っておくが、私は有野君が嫌いなわけではない。というか、私は彼の恋人だったりする。うん、惚気ているわけじゃないよ。ただ、ゴールを狙えよゴールを!と思ってしまうのは事実である。軌道よりも大事なことはただ一つゴールである。これは誰が何と言おうと間違いようのない事実なのである。なんで、選手なのにゴールに興味が無いのか疑問で仕方なすぎる。ああ、やめよう。あまり考えすぎると、またストレスを抱えてしまうから。それにしても、今日もやっぱりボールの軌道は素敵だな。



黒裂君が遂に痺れを切らしたらしい。3DSを持ってきて私に渡してきた。どういう事だろうと思えば、聖堂山の選手が映っている。最新のゲーム機らしい。だが、これに何の意味が?と言われれば、操作して見ればわかる。と大体の操作方法を教えて貰った。例えば黒裂君に前線に出るように指示すれば黒裂君の意思とは無関係にゴールに直行し始める。ドリブルをしろ!と指示すればドリブル技を使ってくれる。ようするにこれはあれだ。魔法の(呪いの?)ゲームなのだ!あ、誰か今、メタ発言って言ったな。そうだよ!メタ発言だよ。



早速これを片手に有野君に指示を出してみる。有野君はあれれ?自分が行きたい方向じゃないぞと疑問符を沢山頭の上に浮かべながらボールをキープしつつ走っている。いつもならば、この辺で美しい軌道とやらを見ることができるのだが、今日はそれは無理そうだった。何故ならば、神(自称)が居るからだ!ふはははは、恐ろしかろう!そのまま、有野君をつついてゴールラインまで走らせる。シュピン!と音を立ててシュートを打つかどうかが現れる。



勿論、シュートボタンをプッシュ。シュートは華麗にゴールに突き刺さった。気持ちいい!爽快!と思っていたが有野君は何故か悲しそうに「なんてことだ……美しい軌道が……」などと呟いていてまるで嬉しそうじゃない。シュート決めたんだから少しは喜べばいいのに!まるで私が悪い事をしたみたいじゃないか!魔法のゲーム機を置いて、有野君に今のシュート凄かったよ!と言ってみた。



有野君の元気が少しだけ取り戻せた。でもすぐにめそめそと「ゴールに興味なんて無いのに、体が言う事を聞かなかったなんて」前代未聞だよ、これ!と悔しそうに地面を叩いていた。大体チームメイトが迷惑するんだからシュートの一回、二回、決めて貢献してもいいじゃないか。どんだけ美しさにこだわっているのこの人。「すっごく格好良かったよ!有野君」「ああ、有難う。でも、名前は失望しただろう?あんなシュートで」寧ろ逆です。



「何を言っているの?!寧ろ今の方が格好良かったし!」「!?」そんな馬鹿な、名前は自分の美しいボールの軌道が好きだったのではなかったのかと目を真ん丸にさせて、少しだけ見開いていた。そんなわけあるか。どうやったらそんな思考に成るのか、改めてよく考えてみたがそういえば、昔に有野君のボールの軌道は綺麗だねって言った記憶があるので自分のせいだったのか、と今更ながらにショックを隠せなかった。ああ、なんてことだ。今まで固執させていたのは私、そう思うとなんだか、愛くるしくなって有野君の身体をギュウギュウと強く抱きしめてしまった。「痛い!骨折れる!」って言葉が聞こえたけど知らない、聞こえないふり。


あとがき

すみません、ギャグに成りませんでした。せめて、有野君の設定だけでも生かしてみようと努力はしたのですが、それもあまりままなりませんでした。


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