いっしょだよ!




(・風丸もしくはアフロディの髪で遊ぶお話)


照美ちゃんの髪の毛は絡まることのない、某CMのような程さらっさらである。というか、実際にCMとかのオファーが来ているんじゃないかと思うくらいに長くて美しい黄金の髪の毛をしている。照美ちゃんは気高いから、中々心を許した人間でなければ髪の毛なんて触らせてくれないのだけれど、私は何処を気に入られたのか「僕の髪の毛そんなに、気に成るなら触ってもいいよ」って彼自身からお許しを頂けたのだ。ああ、神様、照美様。そんな神様の寵愛?を受けた私は今日もワクワクとした気持ちを携えながら彼の髪の毛を弄繰り回すのだった。



最初はお団子。おぉ、何処かの美人なオフィスのお姉さんだ!とべた褒めしていたけど、僕はなんでも似合うからねと得意げに笑っていた。でも、美人のお姉さんって言う単語には終始引っかかっていた。矢張りその辺は男としてのプライドとやらが許さないのかもしれない。でも、美しいとか、美人って単語は嫌いじゃないみたいだから内心複雑の様だった。ゴムを取るとスルンとまたストレートに成って。絡まることが無かった。なんて羨ましい、私なんてゴム取る時なんてたまに髪の毛がゴムに絡みついていて痛い思いをするのに!と恨み言を口の中で押し殺して次の髪型へ。



ツインテール!これはもう文化だよね。日本のツンデレの代表と言っても過言ではない、美人でお嬢様でツインテールの金髪これで「べ、別にあんたの為なんかじゃあないんだからね!」なんていったら完全なツンデレの完成である。「……なんか今、変なこと考えたでしょう」「いえ、別に……」今のは完璧に自分に非があったので誤魔化しておいた。誤魔化しきれたかわからないけれど。これもとっても似合っている。うん、いっそ髪型以外にも、コスプレとかしてほしいくらいだね。メイド服とか(絶対にきてくれないだろうけれどね、でも願望の内にとどめておくなら許されるよね?)。



次に三つ編み。これはちょっと今までのより地味かなと思ったけれど、整った顔立ちを見れば一目瞭然でわかる。似合っているのだ。これで、眼鏡なんてかけてくれたら、あれだ……、図書室に居る、可愛いけど無口でクールな女の子だよ。これを暫くして、解いたら人工的に作られたウェーブがかかっていて、美しくなっていた。なんてこった、この人は何処まで行っても美しい人だ。その美しさが怖い!恐ろしい!けれど、惹きつけられて止まない!「もう気は済んだかい?」照美ちゃんの声がして、応と答えた。



「じゃあ、次は僕の番だね」「え、そんなの知らない」「何言っているの。僕、ただで髪の毛を貸すなんて一言も言っていないよ。こんなウェーブまでかけられちゃってさ」そういって、照美ちゃんよりも幾分も質の悪い髪の毛に手をかけて、キスを一つ落とした。「ん、良い匂いがするね。僕が使っている、〇〇ってシャンプーはお勧めだから君も使うといいよ」そしたら、僕と君は同じにおいがするね。っていうから、どきりとしただって、髪の毛の房を持ち上げられていて首筋に吐息がかかるのだもの。



それに、それじゃあ、まるで恋人の様じゃないか。私は照美ちゃんの恋人じゃないからそんな烏滸がましいこと出来ないよって言うと「名前、僕はね好きな人以外に、髪の毛を触られたくないんだ」って言った。え、何それ。それじゃあ、まるで照美ちゃんが私を好き、みたいじゃあないか。あ、やっぱり違った!ってなると勘違いも甚だしいじゃないか。冷や汗のようなものが滲んできた。「名前は何の髪型でも似合いそうだね」「照美ちゃんほどじゃないよ」「まあね」自信ありげに言うのだから笑ってしまった。実際そうなんだけどね。



照美ちゃんは繊細な手つきで私の髪の毛を二つの三つ編みに縛り上げて暫くそのままにしておいてと言われたのでそのまま、黙って微動だにしていなかったら「そういう意味じゃなくてね、動いていいよ」って馬鹿にされたのかわからないけど苦笑された。そして、十分に時間がたったところで照美ちゃんが私に近づいて、ゆっくりと三つ編みを解いて行ってくれた。時間がたってしまっていて、ウェーブがゆるくかかっている。照美ちゃんとお揃いじゃないか!と気づくのに数秒脳の処理が遅れた。「はい、お揃いだよ名前。僕とお揃いで嬉しいでしょ?」自惚れやめ!と思ったけど全く持ってその通りなので否とは答えられなかった。それでは口答えである。


あとがき

亜風炉さんか風丸さんか迷ったのですが風丸さんは、意外と短編で出していたなと思い出して、亜風炉さんになりました。お気に召してくだされば幸いです。


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