真っ赤なハピネスに口付け




(・ベータが嫉妬、拗ねる)


今日は久しぶりに休みで、名前とおうちデートの日なのに、名前が来るのが異様に遅い、いつもなら待ち合わせ時間の五分前には来てくれるのに十分以上も遅刻するなんて、まさか忘れてしまっているのではとか、何か異常事態が発生したのではと思い居てもたっても居られなくて、私は部屋から慌てて飛び出した。そして、目の前に飛び込んできた、映像に私の足は石化し、私の心も急にしぼんでしまった。ガンマだ、スマートとか言いながら、名前を引き留めている。「今日も麗しいね、僕に相応しいよ、本当に君は、ベータなんかやめて僕にしたらどうだい?」「あはは……、すみません、そろそろベータの所に行かなきゃいけないので離していただけませんかね……」名前は迷惑そうに、しているが。ガンマの言葉にグサグサと何か鋭利な物が刺さるのを感じた。



名前がもう時間は過ぎているのに、目前にベータの部屋があるのにとこちらを振り返った瞬間私の、足の石化が解けた。私は慌てて、部屋に駆け込み、ロックを施した。名前もしまった、って顔をしていて私の部屋の扉を叩いた。「ベータ!誤解なの!ガンマ様に話しかけられてそれで逃げられなくて」「スマートじゃないね、僕が邪魔したみたいないい方」確かに、ガンマは名前にとっては上官だ。だから逃げられなかったというのも嘘じゃない、だけど。なんだろう、心の中で黒い物が蟠っている。「すみません、ガンマ様、でも、今日はベータとの約束の日なんで……」再三に謝る声が外から聞こえてくる。「わかったよ、今日の所は引き下がるよ。でも、僕の件の事も考えておいてくれ」コツコツ足音が一つ去って行った。



残されたのは多分名前だろう、私のドアの前でどうしたらいいんだろうという顔をしながら、それでも引き下がらない。ロックを掛けたとはいえ、名前はロックの解除の仕方を知っている。ただ、先程のがやましいんでしょうか、入れないみたい。私が「ロックの解除の仕方なら知っているでしょう」と自分でも冷たい声だなと思えるほどの声が出たことに驚いた。その言葉にようやくロック解除の事を思い出したと言わんばかりに名前がロックを外して私の部屋の中に入ってきた。酷く申し訳なさそうな顔をして。それだけで許してあげたくなったが、何故か許せない気分だったのでふくれっ面のまま、そっぽを向いた。



「私との約束よりガンマとのお話の方が楽しかったですか?」ついとげとげしい言葉が口から飛び出してきてしまう。名前は「そんなわけないじゃない!寧ろ遅れてしまってごめんなさい、ベータが怒るのも無理はないよね、」怒っているのだろうか、果たして自分は。自答自問をしてしまう目の前が真っ暗に成って、それから……やるせない気持ちに成っている。猜疑心というのだろうか、名前がガンマのお馬鹿に靡くはずはないとわかっているのに……。なんだか、黒い蟠りは消えてくれない。寧ろどんどんあの映像を思い出すたびに膨れていく気がする。増長しやがって。「ふん、だ。許してあげませんよ」「そんな、ベータ……、今日のデート楽しみにしていたのに」こんなことで台無しに成っちゃうなんて……と名前が泣きそうに顔を歪ませて、今にも泣いちゃいそうな曇り顔なのに気が付いた。



「ベータ、許してよ。何でもするから、ね?この間欲しがっていた、アクセサリーお揃いで買おう?ね?」「物で釣ろうなんて浅ましいですぅ」そういうと遂に耐えきれなくなくて決壊したのだろう、ぽろぽろ目から雫を零して地面に吸い込まれていった。そして、形を失う。「うぅ、ベータ、嫌わない、っで……ごめんなさい、ベータ、」「……物で釣るんじゃなくて別の方法を取ればいいんですよ。そしたら、私の機嫌なんて一発で直るんですから」そして、ソファーでふて腐れていた私は、立ち上がって、名前を抱きしめて、そのままソファーに倒れ込んだ。名前は驚いて未だに涙の筋が出来ている頬を赤らめた。「ベータ?」私の行動に随分と驚かされているみたいだった。その証拠に先程まで泣いていた名前は目をまん丸くさせて、困り顔をしていた。表情豊かですね。



「こうやって、」ちゅ、とリップ音を立てて名前の唇を奪って見せた。「キスをしたり」ぎゅうと抱きしめる腕を強くすれば名前の顔は熟れた果実のように真っ赤に成っていた。「抱きしめると、私の機嫌って直るんですよ?名前限定ですけどね」簡単でしょう?名前からやってくださぁい、そうしたら今回の事は全部チャラにしてあげますからって言うと恥らいながらも私の唇に唇を重ねてきた。そうそう、良い子ですね。


あとがき

ベータちゃんはなんか人気ですねー。私もベータちゃん好きです。しかし、拗ねるベータちゃんは書いていて新鮮で可愛いなと思いました。いいですね、嫉妬して拗ねるって。最後は甘めにしておきましたが、お気に召していただければなと思います。

Title Mr.RUSSO


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