白銀のメロディに口付けて




(・木屋と青銅が追い詰める。(幼馴染とヤンデレ))


木屋君とは幼馴染で、私はゴッドエデンに行くと聞いたとき真っ先について行ったものだ(マネージャーとしてだが)。そして、そこで知り合ったのは、青銅君で、ちょっと変わった子だった。私を見るなり、目をまあるくさせて、女の子が此処に来るなんて珍しいね、って直ぐに声をかけてくれた気さくな子なんだ、なんて最初思った。だけど、これが間違いだった何て、私は知る由も無かった。最初のうちは穏やかで和やかな時間が流れた。気や君が私の絵を木炭で書いてくれたり、青銅君が木屋君が居ない時の話し相手に成ってくれたり。これが次第に不穏を帯び始めたのはいつだったか。もう忘却の彼方なのだが、事の次第は覚えている。



「もうさ、ゴッドエデンから出て行かずに僕と一緒にずっと居ようよ」青銅君の言葉だった。気持ちは嬉しいけれど此処は何もないし、些かやり口が汚いので私は此処を好きに成れずにいた。気や君が慌てて私と青銅君の間に割って入って止めてくれた。「駄目だ!名前は俺の幼馴染なんだ、俺と一緒に帰るんだ。これが終わったら!」木屋君の言うとおりである。私は木屋君と共に来たのだから、帰るのだってきっと木屋君と一緒だと、木屋君の服の裾を握りしめた。それを面白くない物でも見るかのような目つきで、睨み、いつもは柔和な青銅君が一変した。「なんで?可笑しくない?それって。幼馴染ってだけで何もかもを独占できるって思っているの?君のさ、気持ち悪い気持ち流れ込んでくるんだよね」



木屋君に目をやるとふるふると震えていて、どういう意味だろうと私は不安に成った。それも一気にだ。木屋君も安全な存在とは言い難いのかもしれないと一瞬で悟り、離れようとした瞬間に、手を掴まれた。「何言っちゃってんの?お前の方こそ、数日だけで名前の気を引けると思ったら間違えだぞ。気持ちわりぃのはお前の方だ」逃げられなかった私は、どうしたらいいんだろうと、周りをぎょろぎょろ見渡してみたが、誰も居なくなっていて、三人だけの空間が出来上がっていた。どうして、こういう時に限って誰もいないんだろう。「恋にさ、時間とか日数とか関係なくない?」「……恋?」私が小さく呟くように自分にまさかなと言い聞かせるように言った。



「そう!恋!僕は名前、君に恋をしているんだ。夜も昼も朝も君の事が頭から離れない、その癖にいつもいつも、木屋の奴が邪魔して来る。君と二人きりに成られるのが嫌みたいだね、なんて嫉妬深い幼馴染なんだろう?そろそろお払い箱だと思うだけどなぁ」相変わらず柔和な顔つきで私の手を木屋君から振り払い両手を握りしめた。それから、頬ずりをしながら、君の手はきめ細かくて触っていてとても心地がいいよとうっとりした瞳を細めた。それを許さなかったのは木屋君だった。「離せ!青銅!気持ちわりぃな!」私もふつふつ肌が泡立っていたので助けてもらったことには感謝していたが、今度は木屋君が私の手をがっしり拘束しているのに気が付いた。



「木屋君?」「お前は昔から危なっかしくて見ていられなくて、……ずっと俺が守ってきたんだからな、こんな所で何処の馬の骨ともわからないような男にくれてやるわけにはいかない。俺がずっとずっと傍にいてやるからな」だから、そんな男の事をすぐに忘れるんだ。そして、俺と幸せに成ろう、お前の絵も随分と溜まったんだと耳元で囁いてくるので、彼のノートブックを見せてもらうと私の寝顔とかいつかいたんだと冷や汗をかいてしまうような、絵もあった。相変わらずクオリティは高いのだが。「うわぁ、引いちゃうなぁ。いつこれ描いたの?名前の寝顔は可愛いなぁ、今度僕も寝ていい?」「だ、駄目だよ!」



もう帰りたい!一人でいいから!木屋君なんて知らない!って泣けば、木屋君に涙を舐められた。いつから、そんな酷い目で見ていたんだろう?私はずっと大事な幼馴染だと思っていたのに。青銅君も青銅君だ。私の要らなくなった物とか拾って大事そうにするのはやめてほしい。段々と追い詰められていっているのに気が付く自分、一人で帰りたいと願うも、二人がそれを許してくれそうもない。「帰りたい?帰るときは俺と一緒だろ?いつだって一緒だったんだから」「僕と一緒に帰ろうね、僕のおうちに。一生、大事にしてあげるからね」そう言った二人の邪悪な顔が今でも脳裏に焼き付いていて離れない。私は生きていてお人形さんじゃあないんだよ。木屋君はもう信用できない、青銅君は怖い。

title カカリア


あとがき

なんとなく、木屋君が俺で青銅君が僕なイメージです。そして、どっちも幼馴染でヤンデレなのか迷ったのですが、木屋君を幼馴染にしてみました。両方可愛いですよね。



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