好きだなんて身勝手な感情だね




(・光良でストーカー)
15推

俺の彼女はとっても可愛いです。なんといっても玲瓏な瞳がまるで汚れを知らない子供の様で、綺麗で俺は気に入っています。他にも細い手首とかも好きだし、首も好き。今日も名前を後ろから見守っているんだけど、こちらを振り向くことはない、当然だよね、安心しきっているんだよね。俺がちゃんと守っているから、俺は名前のことを深く知悉している。例えば、携帯の番号、アドレス、それから使っているシャンプーから今日食べた朝ごはんまで、ちゃんと見守っているからね。



「なんか最近誰かに付けられているって言うか、なんか変なんだよねぇ」と毒島に相談する名前なんで俺じゃないんだろう。と思いながらも毒島の回答を待ちあぐねていた。毒島は何処か、面倒くさそうな面持ちで「心当たりが無くもねぇけど」と言って俺の方をちらりと見た。なんだよ、俺は名前の彼氏で最近現れたというストーカーからも守っているんだぞと睨み返せば、渋々顔を戻して、ぢゅーともう入っていないと思われる苺牛乳のストローに吸い付いた。面白くねェの。なんで俺をストーカーだと思うのか不思議、純粋に不思議。ストーカー対策も兼ねて何だろうか。毒島が今日は一緒に居る。彼氏の俺を差し置いて何でそんな奴と一緒に居るんだと怒鳴りつけたかったけど抑えた。すぐに、怒ると名前も怖がっちゃってどっか行っちゃうかもしれないから。今日はそっと後を付けるだけにした。別にやましい事なんて無いよ。ストーカーが出たら俺が退治してあげるからね。毒島なんかよりも先に。



今日は何をしているんだろう、名前の家の近くに借りたアパートから名前の部屋を望遠鏡で覗き込む。今日は、グラタンを食べているみたい。俺も同じように冷凍食品の粗悪なグラタンをレンジでチンして、温め食べた。同じものを共有していると一緒に成った気分で本当に嬉しい!名前とは同化できないけれどこうして同じものを共有することができる。そういえば、今日はゴミ収集の日だ。あとで名前のゴミもチェックしておかないと。俺はそう思い立つと、立ち上がって食べかけのグラタンを放置して、外に出た。適当な靴を足に引っ掛けて、かかとを踏みつぶす。



名前ってば勿体ないんだよ、まだ使える服とかそういうの直ぐに捨てちゃう。だから、俺が拾っておいてあげているんだ。いつか名前が捨てなきゃよかったーって言う日が来たときに返してあげるつもり。俺って優しい。誰かに見つかる前に、早く持って帰らないと見つかると怒られちゃうから。必要そうなものだけ拾って俺は家に帰る。この家はフィフスセクターに頼んだら、貰ったんだ。いいだろ。名前の家も近いし。最高だよ、住み心地。今日持ってきた中に下着とかもあったけど、いいよね?名前の服の香りを嗅いでいると自然と心が休まる。



毒島に見つかった。こっそりつけていたんだけどな。「もうやめろよ、こんなこと。フィフスセクターが何をしてもいいわけなんてねぇ!」「……なんで?俺、名前の事守っていたんだよ。ストーカーを退治しに「お前がストーカーなんだよ」お前この間引っ越したと言っていたけど名前の家の近くじゃねぇか!しかも、この位置だとカーテン開けていると名前の部屋が丸見えだ!と俺の家を指差してがなりたてた。名前は初めて怯えたような表情を見せて俺から目を背けて俯いた。なんだよ、なんで、俺がストーカーって話に成るんだよ、そんなの可笑しいじゃないか。あはははははははははは!



「名前、逃げろ!」毒島の叫び声に漸く反応し機敏な動きで俺から逃げていく!ああ、待ってよ俺が捕まえるのを待っているの?そんなことしなくても俺ちゃんと名前のこと捕まえていてあげるよ!でも、追いかけるにはこの目の前の邪魔な毒島を倒さなきゃいけないみたい。俺と毒島はチームメイトだし、名前のクラスメイトだから、ちょっとだけ悲しむかもしれないけれど仕方ないよね、俺たちの愛の邪魔をするんだもの。恋路を邪魔する奴は馬にでも蹴られて死んでしまえだっけ?それそれ。兎に角ね、俺は一刻も早く名前に逢いたいわけ、ドンドン離されていくからさ。だからさ、許してね。毒島の呻き声を背に、俺は夕暮れから夜へと姿を遂げようとしている背景を背中に背負って全力で追いかけた。あっは、捕まえた。

title Mr.RUSSO

あとがき

勿論、覚えていますよ!今もこのサイトに通っていただいていると思っていなかったので、驚きましたがとても嬉しかったです!ストーカー光良君はやりすぎた感がありますが、光良君大好きなので、楽しかったです。てりたま様もどうか、ご自愛くださいね!


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