無垢な毒




兄妹なので注意



私は選ばれた人間であり、有能で英才教育を受けてきた。だから、私の隣に立つ女性も美しく、賢くてまた私に似て完璧でなければならない(まあ、私ほどの人間はそうそういまい、なので、少々は目を瞑ろう)。今まで見てきた女は頭が悪い物ばかりで私とは釣り合わなかった。旧式には似合いかもしれないが、私には無理だね。「兄様」「兄様も悪くはないが、士季兄様と呼ぶといい」名前を囲ってからは戸惑ってばかりだ。兄様と呼ぶのは昔からの癖だ、今更直せという方が酷なのかもしれない、だが考えても見ろ、男女の仲に発展する者同士がそのような呼び方ではまるで、そこに透明な壁が存在するかのようではないか。だから、字で呼ぶことを特別に名前にだけ許可してやるのだ。



私と名前は年が三つほど離れている。名前は私よりは大事にされなかったし、英才教育もあまり施されていないが、正真正銘私の妹なので、きっと施せば頭はかなり良くなるはずなのだ。それから、私と同じ血を引いている、これだけで十分この、私の隣に並んで立つ権利があるのだ。私は今までに名前程に完璧な女性を見たことが無い、私に似た、癖のある髪の毛も、その白い肌も、内部に脈々と流れる鍾の血も。全てが愛しいのだ。



「名前何故そのような顔をする、お前は笑っていろ。私がお前を救ってやると言っているのだ、まだ嫁の貰い手もいないのだろう?何、お前はそんじょそこいらの男では勿体ない、この鍾士季の妹なのだぞ、もっと誇るといい」「え、ええ、士季兄様」先ほど許可したせいもあるのだろう、ぎこちなく笑んで士季兄様と小鳥が歌うようにか細く言った。嫁の貰い手がいないというのは嘘だ、私が全て払いのけてきただけである。本当は縁談の話は何度も持ちかけられている、名前の容貌のせいもあるし、それは私の家柄のせいでもある。だが、容貌の方が大きいだろう。



「名前、優秀な者同士で血を繋いだ方が有益だと思わないか?勿論リスクは伴う。だが、私はそこら辺の阿呆の血を混ぜたくないのだ」折角の英才教育が台無しに成ってしまったら、最悪ではないか。だからこそ、優秀な私とお前とで血を繋いでいけばいい。そして、最終的に子を生せばいい。私は教育をするのも得意だからな、きっと私程度には優秀な子が出来るだろう。「名前も早く受け入れろ」言わなくてもずっと一緒だったお前なら、わかるだろう。私は気が長い方ではない。


title エナメル


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