天使の輪っか




(三国なのに天使/死ネタ)


大好きな君が死んだら、君の好きな物で一杯埋めよう。綺麗なお花を飾ろう。そう思う、不意に陰る。紺青の空が見えなくなった。編んでいた花冠を投げ出した。「何をしている?」「鍾会が死んだあとの事考えていた」「なんて不謹慎な女なんだ、お前は」「あはは」カラカラ笑って見せて、別に悪意はないんだよと伝えるも、鍾会はなんだか不機嫌そうだった。確かに死んだ後の事を考えるなんて酷いとは思う。だけど、戦場に出ている以上、死はつきものだ、背中にびったりとはりついている死という存在。それはあまりにも大きく威圧的で殺しにかかってくる。怖いね、怖い。私だって怖い。ならきっと鍾会だって怖いはずだ。



「死んだあと鍾会の好きなもので埋め尽くしてあげようと思って。それから、綺麗なお花を貴方に贈りたいの」だから、今はその練習。そう言って立ち上がり花冠を被せた。シロツメクサで出来た白い綺麗な花冠。まだ歪な点もあるけれど、まぁ、及第点だろう。「へぇ……、」息を吐くのと同時に相槌を打った鍾会を見上げる。「似合っているよ」「そりゃ、どうも。私に似合わない物は無いからね。この野花だって、私にかかれば……」その辺は聞き流して。「鍾会好きな物って何?」「好きな物?……、考えたことも無いな、」食べ物?それとも書物?英才教育だから何が好きかわからないけれど。鍾会は可哀想なのかもしれない。幼い頃から英才教育を施されて自分を見失っている。「今まで私は英才教育ばかりで、好きな物なんて考えたことも無かった。与えられるがままに生きてきた。だが、今は違う。自らの手で掴み取って見せる」そう言った時、止めればよかったのかもしれない。もう何もかも遅いけれど。「その時はお前も一緒だぞ、名前」ニィと悪い顔。きっと、色々な事を包含している。その瞳が大好きだった。



鍾会が居なくなった。結局鍾会の好きな物はわからないままだった。私は綺麗な顔で横たわっている、鍾会を見つめて涙を零した。好きな物、なんだったの?教えてよ。私で用意できるものなら用意するから。そういって、あの時編んでいた歪だった、花冠を乗せた。まるで、天使の輪っかみたいだな、って思った。


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