源田



!色々、酷いことになっています。苛めかっこわるい。



濡れ衣だとしても、周りの皆がそうだ、と言うのならばそれは罪になる。
「わ、私じゃ……っ……」
何度この言葉を言っただろうか。誰かが信じてくれるなんて甘い考えはとうにないただ、認めたら終わりなのはわかる。冷たい視線が私に突き刺さる。誰一人として此処に味方はいない。嫌。寧ろ、そんなもの最初から存在していなかったというべきか。私の味方なんて、最初からいなかったのだ。



縋るような目で、友達を見ても友達だった人たちは助けてくれない。冷たい視線を投げかけるか、若しくは知らないふりを続けるだけ。次に彼氏だった源田を見つめる。源田のその大きな瞳には私が映っていた。とても、情けない姿だった。なんて、哀れなのだろう。
その内に源田は私から興味が失せたのか視線を外した。



「可哀相に、あんたでしょ。ノートをこんなにしたの」
クラスの仲のよくない女子が泣いていた。その子の鞄とかもボロボロになっていた。よく切れる鋭利なもの、たとえばカッターとか。それで、切られたのだろうか。ノートも使えないくらいにぐしゃぐしゃになっていた。



「違う……!私じゃない……私じゃ……」
「ぐすっ……名前さんだよ、私見たもの!」
泣いている女の子が言った。皆の視線が更に冷たくなった気がする。重たい空気だけが教室内を支配する。
「げ、源田……し、信じてよ……私、そんなこと……してな……」
情けない声が教室に響いた。源田は幻滅したように何も言わず離れた。皆も私から離れていく。味方でいてほしかった人が、敵になった瞬間を目の当たりにした。女の子も別の子に付き添ってもらいながら、背を向けた。その一瞬、その子がニヤリと、邪悪な笑みを浮かべた気がした。残ったのは私だけ。



  


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