フィディオ



!誕生日ネタ

差し出された包装された包みに名前はただただ目を丸くして驚くばかりだった。しかし、その内に口元に笑みを浮かべて、心の底から嬉しそうな表情を見せる。
「覚えてくれていたんだ、有難う」
「当たり前じゃないか」
彼女の誕生日ぐらい把握してある。それくらい、普通だろう。誰よりも先に……一番、最初に俺が祝ってあげたいじゃないか。
「フィディオ、当たり前じゃないよ、それ。記憶力いいとか?友達の彼氏なんか忘れていて怒られていたよ?」
「そうかな?普通だと思っていたよ」
俺は少しだけ肩を竦める。記憶力は並くらいだとは思うんだけどね。意味のない、数字の組み合わせでもそれが名前の誕生日の数字ってなるとほら、すぐに意味のある数字に早変わりだ。名前が関係することだと覚えられるんだよな、不思議と。



「まぁ、それよりも中あけてみてよ」
俺がそう、催促すると名前はそれに促されて包装紙を丁寧に剥がす。
「わ……これ……」
シャラリ、と軽い音を立てて出てきたネックレスに名前は顔を綻ばせて俺に礼を述べる。うん、嬉しそうでよかった。選んだかいがあったな。
「ねぇ、つけてくれる?」
「勿論」
俺が後ろにまわって、ネックレスをかけてあげる。白い首筋には、傷ひとつついていなくて綺麗だ。
「あ、そうだ。言い忘れていたよ。一番大事な事」


生まれてきてくれて有難う。



この日に感謝しなければいけないのは俺のほうだ。大事な名前が生まれてきて、俺の隣に居るのだから。



まれてきてくれて、有難う。

  


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