喜多海



あの人は、喜多海は今何処で何をしているのだろうか。冬なんて、まだまだ遠いよ。と最近友達に笑われてしまった。それでも会いたいものは会いたい。そんな思いだけが募ってゆく。だって、私の彼氏の喜多海は今此処にはいないのだから。まだまだ、外は暑いし草は青々としている。早く冬になればいいのに。寧ろ、一年の八割が冬なら……。駄目か。北海道は雪が酷いものね。なんで、殆ど一緒に居られないような奴を好きになったのか。



「ねぇ、烈斗……冬ってさ、何月からが冬なんだろう?」
少しでも早く会いたいんだけど、毎年毎年決まった日に帰ってくるわけじゃなくてふらりと、十一月の初めに帰ってきたり、終わりに帰ってきたりと気まぐれで帰ってきていると思われる節がある。
「……十一月くらいだと思うべ、多分。十月は秋だべさ?」
烈斗も今一わかっていないのか、疑問符を浮かべていた。思えば季節の境界線って微妙だよね、地域によって。
「だよねー。秋、だよね……」
明らかに落胆したような声に烈斗は眉を下げた。同情してくれているのだろうか。
「本当、喜多海も罪な男だべー。だから、俺を好きになればいいのに」
「女子に睨まれてしまうじゃないか。大体烈斗は選べる立場じゃないか。このイケメンアップめ……」
ぐにぐにと頬を摘んで引っ張ると、いひぇ!と自分の頬を摩った。おっと、いけない、力加減を間違ってしまったようだ。イケメンの顔を傷つけたら高そうだ。女子にも怒られてしまいそうだし。



「ったく、喜多海はずるいべ……。一緒にいる時間は俺の方が長いのになぁ」
少し赤くなった痛々しい頬を手で擦りながら、烈斗が目を伏せた気がしたが直ぐにまた、いつもの元気な声が聞こえてきた。
「……っ、なーんてな。ま、どこかで元気にやっているべさ!多分!」
「そうだね。今年も何事もなく帰ってきてくれたらいいなぁ!」
今年はどんなお土産話を持って帰ってきてくれるのかな。



衝く

  


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