平良



時計が刻々と時を刻む、すでにもう六時を指していた。平良に気づかれないようにため息をつく。もう、いい加減、家へ帰っていいだろうか?平良の家にお邪魔したときはまだ、二時くらいだったと記憶している。六時となれば、流石に親も心配しだすし、何よりご飯がなくなる可能性が否めない。
「ねぇ、平良。もう私帰るよ」
今日何度この言葉を言ったか忘れてしまった。確か一度目に言ったときはまだ五時くらいだったと思う。久しぶりに平良の家に遊びに来たからだろうか、前はこんなに引き止めてこなかったんだけど。



「まだ、いいだろ?」
平良が眉を下げてまるで、捨てられた子犬のような目を向ける。私はこの目に弱いのだけれど、流石にそうも言っていられない。
「ごめん、帰るよ。私のご飯なくなるかもしれないし!」
「俺の家で食べていけばいい」
平良が私の腕を掴んで引き止める。なんでこうも私を引き止めるのだ、こいつは。大体、私より図体がでかいんだから、もう少し手加減してくれ。痛い。
「平良……流石にそれは迷惑がかかるよ。お願い、離して?……ね?」
平良を諭すように優しくそういうが、平良は何処か寂しげな瞳で、首を振った。
「やだ、別に迷惑じゃない。俺と一緒に居るのは、そんなに嫌か……?」
やだって、お前は子供か。
「……また、来るから。今日は解放してください」
私が少し丁寧に言うと、平良がようやく納得したのか、しぶしぶ腕を放した。
「……わかった、じゃぁ俺送るから」
十一月で、流石に寒いので上着を一枚だけ羽織って外へと導く。



外で、白い息を吐いた。無茶苦茶、寒い。
「なんで、今日あんなに引き止めたの?」
「……一緒に居たかったから……」
いっそ泊まっていけばいいのに。とか爆弾発言が聞こえた。聞こえないふりをしておいたけど。最近忙しくて、平良と遊べなかったから寂しかったのかな……。

寂しがり屋

  


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