喜多海



喜多海
肌寒い、もう薄着でなんか寝られないな。毛布をガバリとかぶり、体を丸めた。そして、冷たくなってしまった手足を暖めるように擦る。あぁ、すっかり体が冷えてしまった。最近までの猛暑がまるで嘘のようだ。そうか、もう十月なのか。通りで皆もう、暖かそうな格好をしているわけだ。



「……今、ようやく起きたと思ったのに、また寝るんだべか……」
喜多海が起きてよ。といわんばかりに私の布団を剥ぎ取ろうとしてくる。
「やーめーてー!私の安眠を妨害しないでーっ」
私も必死に抵抗して毛布を取り返す。この攻防を繰り返しているうちに喜多海は無駄だ、とわかったのか私のベッドに腰を下ろした。深緑色のマフラーが視界の端で揺れていた。
「朝、弱い?」
「昔から弱いです」
頭だけを毛布から出して新鮮な空気を吸う。流石に布団の中では息苦しくて無理だからだ。



「ぬくぬくしていて、いいよ。二度寝とか最高だよ」
毛布のよさを力説していると喜多海も布団の中に足を突っ込んできた。ずっと毛布の中の私とは違って冷たい足が、私の足に触れた。
「ぎゃあああああ!!喜多海つめたっ!」
素早く足を喜多海から遠ざける。このままでは体温を奪われてしまう。
「あ、温かいべ」
喜多海はいつの間にか私の布団を半分占領していた。毛布が暖かいためか喜多海も少しうとうととしていた。
「取りあえず眠くなってきた、お引取りください……」
「じゃぁ、僕も一緒に二度寝するべ」
冗談だと思ったが、どうやら本気らしい。動く気配がない。その内に穏やかな寝息が聞こえてきた。……寝るの早くないか……?


二度寝

  


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