風丸



「なぁ、今日お前の家行っていいか?」
風丸が先ほどまでの会話の流れを断つ様に唐突に言った。
「何で?今私の部屋汚いよ」
「いつも片付いているじゃないか。大掃除でもしているのか?」
風丸の中の私の部屋はいつも綺麗なのか、それは嬉しいが……今の部屋を見たら卒倒してしまうかもしれないな……。まぁ、これには色々と事情があるのだが。



「いや、テスト勉強の名残?」
「……どういう意味なんだ?」
風丸は意味がわからない。という顔でまじまじと見つめてきた。そうッスよね。わかりませんよね。優等生ですもんね……。
「ほら、勉強している最中に急に掃除がしたくなる、急性現実逃避病」
そこまで言うとやっと、理解したのか「あぁー……」と頷いた。
「だから、今は無茶苦茶汚いから招待できないよ」
別に、風丸を部屋に入れるのにはあまり抵抗はないのだけれど。
「どうでもいいが、現実を見たほうがいいぞ。この間テストの点下がったんだろう?」
「現実が、見えない……。勉強したら、負けかなと思っている」



あんな紙切れ一枚で人生が左右されるかと思うとなんだか憂鬱だ。最近は難しくなってきているし、いい点を取れるほうが珍しい気がする。
「俺が見張る必要がありそうだな……」
「嫌々、風丸さん。貴方が来るほうが集中できません」
「何でだ?」
「こう、そわそわするから?」
人が居ると逆に落ち着かない気がする。それに、風丸を意識して集中できない気がする。


「見張らなきゃどうせ掃除始めて懐かしいもの発掘しちゃうだろう」
「ごもっともです。否定はしません」
家に帰ったら、部屋を片付けて明日風丸を招待してあげようか。




現実逃避病

  


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