木暮



「うわっ?!」
「ウシシ〜!」
筆箱を開けたら、生々しい蛙の作り物が私の顔面目掛けて飛び出してきた。思わず悲鳴をあげて、椅子から落ちてしまった。それくらい驚いた。大体、蛙とか凄く苦手なんだよ!そんな私の様子を見て、あの悪戯が成功したときの調子のいい笑い声をあげていた。おのれ、また貴様か!
「お、おのれ……!木暮、貴様!」
木暮をとっ捕まえてもう二度とやりません!と誓わせてやる!と心の中で意気込んでいたら、木暮が私の殺気を感じ取ったのか、逃げ出した。小柄なせいなのか、やたらに敏捷な身のこなしだった。勿論、それを私が捕まえられるわけもなく、捕まえようと広げた手は何もつかめなかった。
「……なんて、逃げ足だ……」



はぁ、とため息をついて椅子に腰掛けた。あれを追いかけて捕まえるなんて私には割りと厳しい。追いつく気もしないし、今日のところは諦めよう。人生諦めも肝心よね。精神的被害はあるけれど、肉体的な被害は今のところあまりないし。
「どうして、私に突っかかってくるかなぁ……」
ある日、突然始まったから私が木暮に何かしたとも考えにくいし、原因を探ってみたけれど何もないし。
「とりあえず、次の授業の準備をするかな」
学校用の鞄の中に手を突っ込んで、ノートと教科書を取り出そうとした時手に何かノートや教科書なんかとは違う別の感触がした。なんだ?と不思議に思い、それを掴んで取り出す。



「う、うわああああああっっ!!」
今度はまた、精巧に出来た蛇のおもちゃだった。テラテラ鱗が光るさまはさながら本物のよう。私は驚き混乱し、その蛇のおもちゃを前の席の人に投げつけてしまった。「いてっ?!」という悲鳴が聞こえて、私は慌てて非礼を詫びた。
「あ、あいつぅうう……!許さん!」
私は決意を固めて一度ダン!と机を勢いよく叩いてから、あいつを追いかけることにした。



悪戯少年

  


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