きす



ムードってなんだろう。っていうか、キスとかそういうのってどんなときがタイミングいいの?女の子ってそういうの大切にしているらしいじゃん?わかんないけど。二人きりで部屋にいるのに、全然それっぽくならないってどういうことなの?大体僕女の子じゃなからなぁー雰囲気とかよりももっとこう野性的に求めて、がつがつしちゃうよ、男だもの。初めての彼女が名前だから余計にわかんないし。あーあ、こんなことなら適当な女の子と付き合っておくべきだったかも。あ……でもやっぱり僕の初めては名前がいいからこれでいいかな。名前は僕が慣れているとか思っているみたいで、言っていないけど実は初めての彼女だ。……仕方ないだろ。僕の初恋も名前なんだし。本当、名前にべた惚れだなぁ、僕。



「名前〜……」甘えるように、名前に体を預けると名前は苦笑して僕の頭を撫でた。なんか、いいな……こういうの。幸せってこういうこというんだろうな、きっと。もう授業中とか以外はこうしていたいかも。なんかいい匂いするし……。「なんか今日は、甘えん坊さんだね」「別に、いいじゃん……いや?」「嫌じゃないけど……くすぐったいかな」くすぐったそうに、少しだけ身を捩った。僕の髪の毛がくすぐったいみたい。一房だけ、掴んで名前にかかっていた僕の髪の毛をどかした。「ごめんねぇ」ってまったく悪いとは思っていないけど一応謝っておく。僕の髪の毛長くて邪魔だもんね。今度会うときはしばっておこう。「ねえ、キスしたいな」



だめぇ?と覗き込むように甘えると、名前は困ったような優しい笑顔を浮かべていた。「いいよ」よかったぁ。僕のお願いを断られたら暫く、立ち直れなかったよ。目を自然に閉じた、名前の頬に両手をつけて、僕も目を瞑ってゆっくりと名前の唇に自分の唇を重ねた。僕のと違ってなんだかぷにぷに柔らかい。ちょっと触れるだけのキスをしたあとに僕がゆっくりと唇を離して目を開けると、照れたようにはにかむ名前の顔がすぐ近くにあった。「私の初キス、宵一でよかった」え、ちょ、何それ、本当?うわぁ、僕嬉しいよ。てっきり僕だけかと思っていたよ。うん、これからも大事にするからね!

  


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