毒島を看病する



私の風邪が治ってはれて学校に復帰したと思ったら今度は入れ替わるように兼真がダウンしたらしい。この間来たときは、ぴんぴんしていたので多分私の風邪がうつったのだと推測する。兼真の友達と思われる男子が兼真の机の上に置いてあったプリントを私に渡してきたのに首を傾げると「あはは!だってこの間毒島が、お前が名前のうちに行くくらいなら俺が行くーって言っていたから名前の方が適任だろォ?きっと、俺が行くより喜ぶしなァ!」などとよくわからないことを言ってきたので、受け取っておいた。私も兼真の様子が気になるし、この間の例も兼ねてお見舞いに行きたいと思っていたところだ。



光良君はとても、空気を読んでいると子だと思う。取り敢えずその好意には甘えておこうと思う。プリントを折れないようにファイルに、入れて光良君に「またね」と言うと光良君がニコニコ笑って「あっは!また明日なー!」ってぶんぶんと大げさなくらいに手を振ってくれた。万能坂を下り自宅とは、まったく別の方向へ歩みを進める。あまり見慣れない景色に、本当にこっちの方角だったけ?と微かに不安を覚えたが、何度か来たことのある毒島宅が見えて胸をなでおろした。迷子にはならないですんだらしい。



頻繁に来ているわけではないので、少しだけ緊張してしまう。大きく一度息を吸い込んだ後に、チャイムを鳴らす。チャイムを鳴らすと相変わらず兼真に似て美人な兼真のお母さんが出てきて私を入れてくれた。兼真はお母さん似だと思う。兼真の部屋の入口まで案内してもらうと二、三度ノックして名前を呼び確認を取る。
「あっ名前か?!ちょ、待て!今、部屋汚いから」
少し嗄れた声の悲痛さに、立ち尽くしているとガサガサ何かを片付けるような音が扉越しに聞こえてきた。数分待っていると「よし、いいぞ」と言う少しだけ張り上げた声が聞こえたので安心して、中に入る。



「あー、もう……同じ部活の光良が来ると思って余裕かましていたぜ……」
照れたように瞳を伏せる兼真にプリントを渡して、ついでに可哀想なくらい喉が嗄れていたので、のど飴をあげた。
「光良君なら汚くてもいいの?」
「よくはねぇけど……あまり気にはしねぇな、どうせあいつの部屋も大差ねぇよ」
ベッド上で体を少しだけ起こしている兼真がケホケホとせき込んだ。私は光良君の部屋なんか知らないから、頷けないけれど兼真が言うのでそういうことにしておこうと思う。逆らってもいいことはない。
「ていうか、お前もう帰れ。また、風邪ひくぞ?お前に風邪ひかれたら罪悪感沸くだろうが」
滞在時間はまだ、ものの数分なのだがそんなことを言いだした。
「……私が毒島と居たい、って言ったらどうする?」
事実、毒島にはこの間看病してもらったという借りもあるわけで……私は出来ることならば毒島の看病をしてあげたいし、痛ましい程に弱り切った毒島をこのまま見捨てるなんて薄情なことはしたくない。



「……ばっか……、んなこと言われたらお前の事、離したくなくなっちまうだろうが……」


  


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