白竜



白竜は究極究極言うけれどハッキリ言って「小学生レベルだよね。究極とか言う単語を好むのは」馬鹿にするようにおでこをつつけばいつも冷静さを表面で演じようとしている、白竜が怒りをあらわにした。「なんだとっ!」「そうだよ。というか究極なんて単語、今日日、小学生の高学年だと使わないよ」くすくすと忍んだように笑う黒い衣装に身を包んだシュウ。それがまた、挑発的に感じられて白竜の頭にカチンと来たんだろう。なんだとっ!と怒鳴って威圧したがシュウはそれをまた笑って回避した。うまくいけば回避能力に定評が付くかもしれない。彼は優秀だ。「所でシュウ、聞いてよ」私がシュウにすり寄って、聞いて聞いてと少しぶりっ子のように言ってやれば何々?楽しい事かい?とシュウがすぐさまに耳を傾けてくれた。それからひそひそ話をするように手をシュウの耳に添えた。



当のこれから話題になるであろう本人は、面白くなさそうにむっすりと不貞腐れてソファーにどっしりと腰を掛けていて、ひっそりと(本人はばれていないつもりなんだろうけれどもわかりやすい)聞き耳を立てていた。勿論、本人も若干堂々と聞くのは気まずいのだろう。視線は逸れたままだった。「白竜ってば、私に告白してきたときなんて言ったと思う?」「へえ、白竜からだったんだ。ふぅーん、てっきり名前からだと」シュウがあり得ないなぁって事を口にするものだから、顔を少し顰めてみればシュウがくすくすとまた笑った。「でも、最初に惚れていたのは名前の方でしょ?」「うわわ、なんで知って」「まあまあ、君、結構わかりやすいよ。それよりも、何ていったんだい?」気に成る気に成るーって無邪気な表情を覗かせて言うので、つい最近言った馬鹿な白竜の言葉をリピートしてやった。あーあ、こんなことならね、本当録音しておけばよかった。



「どもりながらね、私の事究極に可愛いって言ったの。私さ、その時にさこいつにとっての最大級の褒め言葉が究極なのかなって思っちゃって」「へーぇ。まあ、確かに白竜なら言いそうだね。多分、彼にとっての最大級の言葉が究極なんだよ、きっと」なんだか随分と安っぽい言葉だなーとか、究極の安売りだよって思うけれど白竜ぽいと言えば白竜っぽい。きっと、剣城君に言ってみても一言一句同じことを言うと思うんだ。「雰囲気ぶち壊しだよね」「でも、そこも好きなんでしょう」「……」私が押し黙れば、ほら図星だってまた笑われた。あーあー、やだなぁ。惚れた弱みだよ、確かにそこも好きだし、そういわれた時笑っちゃったけど凄く可愛いなって思っちゃったもん。



「それにね、僕、結構お似合いだと思うよ。そうだな、白竜っぽく言えば、究極にお似合いのカップルって所かな」ある意味の似たもの同士がくっつくべくしてくっついたというか。微笑ましいのと同時に、爆発しろって気持ちにもさせられるね。って言うから、あーもー、やめてよとシュウを押しのけた。「お、おい」白竜が酷く狼狽えた様子でシュウの肩を掴んだ。シュウはへらへらとした様子でしれっと言った。ついでに、白竜の手を引きはがしながら。「ああ、嫉妬かい?大丈夫だよ、心配しなくてもね。君たち、究極にお似合いだよ」


極馬鹿


  


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