光良



外は雪がちらほら降っている。先ほど、窓の外に目を向けたとき降っていたから間違いない。ただ、積もるかどうかは微妙なラインだ。北海道や、雪の積もる地方ではないここではすぐに溶けてしまうかもしれない。冷えた手を温めるように暖房にかざした。夜桜はまだ、眠っているのだろうか。きっと、私よりも雪が降っているということにはしゃぎ喜ぶと思うのだけど。この場にいない夜桜のことを考えていたら、夜桜が起きてきたのか眠たそうに目を擦りながら部屋から出てきた。
「おはよ!今日も寒いな!」
「おはよう。外、雪降っているよ?」



朝日を取り込むように、カーテンを開けて外の光景を見せてやると夜桜が眠たそうな瞳を大きく見開いた後にいつものように楽しげに笑い出す。
「わぁ!雪だ雪だ!!早く外に出ないと!溶けちゃう!」
そういってパジャマのまま、ばたばたと外へ出ようとするので慌てて寒いからせめて、上着を羽織っていってと上着を渡した。いそいそと袖を通して外へ転がるように飛び出した夜桜の後を追うと、空から降ってくる白い雪を手で掴もうと伸ばしている。
「すごいすごい!雪が沢山、積もればいいのに!そしたら、雪合戦してー雪だるま作るんだ!あははははははっ!」
「積もればいいね」
夜桜があまりにも、嬉しそうにはしゃぐものだから積もればいいのになって思ってしまう。豪雪地帯に住んでいる人からすれば、お前は何を言っているんだと頭をはたかれそうだけれど。



「雪がやむ前に、一緒にあそぼあそぼ!」
「とりあえず寒いから、着替えてからね」
夜桜と私の格好を見比べて苦笑すれば夜桜が、自分の格好を見て「あははっ!そーだね!」と身震いをして袖に手を隠した。
「それまで、雪がやまないといいな!きゃはははっ」
鈍色に濁った空を一度、見上げた。雪は今の所降りやむ気配はない。きっと、着替え終わっても雪は降っているだろう。はしゃぎまわる夜桜の姿を思い浮かべてそっと、口元を緩めた。


  


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -