+10冬花



汚い友人が前のお話。


名前ちゃんは私にとって一番の友人でした。私が失恋したときも緩く女の子の柔らかな体できつくない程度に、抱きしめてくれてずっとずっと私が泣き止むまで背中を擦ってくれて、それから無限に続くのかと思われるほどループし、使い古された内容の事にうんうん、と同調してくれてまるで私の事を受け入れてくれているような気がした。彼女は私の中で一番綺麗な心を持った友人だった。前述で過去形で紹介したのには理由があった。私が彼女に対して汚い感情を持ってしまったからだ。だから、私の中の一番の友達の座は既に違う人物が持って行っていた。その友人というのは男性だけれども、とても、信用における。



私の言い分を聞いてほしい。私が名前ちゃんに対してあり得ないような感情を抱いてしまうのには、幾分か複雑な理由が存在するという事に。彼女はいつも、私が悲しみ涙を流しそうな時にそれを察知して、抱きしめてくれたり何度も宥めてくれた。……、私たちはキスをした。惹かれあうように、自然な形で名前ちゃんの顔が近づいて私に一度、お遊びのようなキスをしたのだ。若しかしたら私を慰める形であったのかもしれない。だけど、そこに私は邪な物を抱いてしまって、綺麗な友情やそんなものは存在しないのではないだろうかと思ってしまったのだ。……友人だなんて、嘘だよ。



私は嘘をついた。私の言い分を聞いてもらえたならば、名前ちゃんも理解してくれたと思う。変だよね、私は最近までまもる君が好きだったのに、名前ちゃんに心を持っていかれるだなんて変だよね。そもそも、名前ちゃんは私と同じ性別を受けて生きているというのにハグとかキスとかして、恋人のようにふるまっている。私を勘違いさせてしまうのには十分な理由を持っていると思うのだ。だけど、私は途端に怖くなったのだ。いつか、きっと、突き放されてしまうという事に。同じ性別だからって、突き放されてしまうことに。恐れたのだ。



苦々しい、涙の雨を降らせて。名前ちゃんは私の有りもしない嘘の報告に、祝福するでもなく、がなり立てるわけでもなく、ただ涙を零して私を組み敷いた。私は既に名前ちゃんの掌中にあったのだ。……ごっこ遊びというのには、重すぎる。全てを理解する頃に、私はきっと絶望の最中に、名前ちゃんへ本当の気持ちを伝えるだろう。多分、少しばかり遅すぎると思うけれど。それでも、この感情が本物だったことだけを証明させてほしいのだ。私は、どうしようもなく優しい綺麗な友人だった名前ちゃんが好きです。


角の福音

  


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