隼総に看病される 先ほど熱を測った時に三十八という数字に達していた時は、ああ……通りでこんなに体がだるい上にぼーっとするわけだ、と思った。寒さに震える体を抱きしめる。いくら着込んでも、ガクガクと震えている。布団の中で丸くなっていても、一向に寒気がなくならない。薬は飲んだはずなのに、まだ効かないのかとまどろみの中で思った。隼総が心配そうに私を見下ろしていた。 「……寒いのか?」 「……さむ、い。隼総、寒い」 隼総との会話を毛布越しに、寒さを訴えかける。隼総が困ったように瞳を逸らした。 「といっても、これ以上どうしようもねぇよ……」 確かに、もうできることをしてもらったし、自分でもした。これ以上はどうしようもないことを自分でも薄々勘付いていた。それでも、寒さは消えない。何重に重ねた布団は意味をなさない。 「寒い……隼総ぁ……、温めてよ」 「……この状態で、無いとは思っているけど、誘っているのか?誘っているというのならば、その誘いに乗るけどよ」 「そんなわけないじゃん。寒くて仕方がないの」 震える手を布団から出して伸ばせば、隼総がその手を掴んで指を絡めた。 「……わかった」 隼総が了解の意を、伝えた後に華奢な体を横たえて布団にもぐりこんで私を抱きしめた。冷たい、と思ったけれど触れ合った部分が徐々に熱を帯び始める。ああ、暖かい。その暖かさを求めて、隼総の体に顔を埋めた。 「お前熱いな。……死ぬなよ?」 「隼総あったかい……」 「おまっ、どうでもいいけど、あんまりくっつくなよ。理性で保っているだけなんだからな」 「大丈夫、隼総のこと信じているから。弱った私に対して隼総はそんなことしないよ」 隼総との距離を離さずに、隼総に向けて言うと隼総は苦笑した。 「俺のこと買いかぶり過ぎだ。気を付けるから、ゆっくり休め」 隼総の暖かさと匂いに包まれて、私は目を閉じた。もう寒さはどこかへと消え失せていた。あるのは愛しい人のぬくもりだけ。 ← 戻 → |