くーでれ彼女!



!相変わらず夢主は冷たいし、エドガーは壊れています。デレは僅かにあるかもしれない。前回のつんでれ彼女!の続きだったりして。


ツンデレな彼女がクーデレな彼女に転身を遂げました。今までのツンとデレの絶妙なさじ加減も素敵でしたが、今のクールな彼女もとても素敵だとこのエドガーは思いますよ。
「名前、こんにちは。今日もとても麗しい」
「……」
相変わらずの無視、無言で一瞬私を視界に入れた後に、興味なさそうに別のところに視線を向けた。名前の顔を覗き込んでも、私はいないといわんばかりに視線を外す。ふふふ、透明人間にでもなったような錯覚をしてしまいますよ。
「……あ、ランス〜。こんにちは〜。今日もお疲れ」



練習を終えたランスににこやかに話しかける。私との温度差に少し口元が引き攣った。ランスは然程気にせずに私の名前に、話しかける。
「有難う。それにしても、まだエドガーに付きまとわれているのだな」
「え?えど、エロガー?誰それ?ごめん、私知らないわー。あ、でも紹介とかしなくていいよ。その人に会いたいとか思わないから」
途中まであっていたのに、わざとらしく私をエロ呼ばわり。そうですねー。確かに紳士といえど愛する女性の前ではそう、一人の男です。強ち間違いではないですよ、名前。
「名前、私のことを忘れてしまったのですか?」
名前の手を取ろうとしたら、それよりも先に手を退けた。



「……エドガーいい加減諦めたらどうだ?名前はエドガーを無視するほど嫌いらしいぞ?」
なんて的外れなことを言い出すんでしょう。この甲冑男は。ひとつ、本当のことを教えて差し上げましょうか。無知なのは時として罪なのです。
「違うんです。ランス彼女はツンデレからクーデレに転身を遂げたのですよ」
ふふん、と胸を張ってそういうとランスはまた呆れた様子でやれやれといわんばかりのポーズを取って私に憐憫とした視線を送る。彼にも素晴らしき萌えの文化を叩き込む必要がありそうです。
「……まぁ、そう思いたければ思っていればいい。そこまで名前に固執する理由が我にはわからん。エドガーともならば、レディが放っておかないだろう?」
レディですか……ええ、確かに美しいレディは私の目を奪いますよ。美しいは罪ですね。でもですねぇ、愚問です。そんな愚かな質問をするんですね、ランスは。



「名前が……名前が好きだからに決まっているじゃないですか!」
ボリューム大きめに、宣言するとランスが呆れ返ったように今度はポカンと絶句していた。どうでもいいですけれど、そのあんぐりとあけた大きな口を閉じていただけないか。
「名前、聞いたか……?無視していないで何とかいってやれ。あれじゃただの痛い奴になるぞ」
名前は私の本気の愛の告白を聞いても涼しい顔をしていて、私の告白を無かったことにしている。地面を突いている、何羽も居る鳩に目を奪われていた。何てことだ。
「……何も聞こえなかったよ。あ、鳩の鳴き声は聞こえたかも。ほら、可愛いよ?」
クルックーと鳴いている鳩は人なれしているのか、名前が近づいても飛んで逃げたりはしなかった。



「名前、エドガーが哀れだ……」
「え?何?」
とぼけた様な口ぶりで、しゃがみこんで鳩の観賞をしている。……いいことを思いついた。そうだ、私が居ないということは、だ。悪戯し放題じゃないかっ!興奮してきた!テンションあがってきた!名前がいけないんですからね!
「……いいんだ、ランス。私が透明人間だというのならば、悪戯し放題だからな」
勿論、せいてk(自主規制)
「…………え?や、やめておけ!余計に嫌われるぞ!」
余計に……?ふっ、もういいじゃないですか。ええ、本当は気がついていますよ。名前がデレてなどくれないということにね!こうでもしなきゃ心が折れそうだったんですよ。だって、私の本気の愛の告白すら聞いてなどくれないんですよ?貴方にこの気持ちがわかりますか?ショックどころの話じゃないですよ。こうでもしなきゃ一ヶ月くらい立ち直れそうにもないですよ。
「名前っ!あいしていm」



愛を叫びながら名前に抱きつこうとしたらそれよりも早く、細い足を鞭のようにしならせて蹴りを入れられた。……地面とキスをするはめになった。ふふ、地面とのキスは初めてです。ペッペッ。あ、いたた、鳩に突かれた。おのれ……名前の心を奪う、悪魔の鳥め。
「名前、やりすぎでは?」
「いいのよ、あいつは誰にだってあんな態度なんだから。ああやって私をからかって遊んでいるのよ。たちの悪い!これくらいしなきゃ、やめてくれないのよ!私が落ちないのが悔しくて意地になっちゃって!」
……そ、そのようなことを?私は断じて貴女以外に心を寄せたことなど……!名前が私から離れようとしたので、私はその細い足にしがみついた。離したらきっと、誤解したままだ。
「名前、聞いてください。私は貴女が好きなんです。意地とかじゃないのです。貴女を愛しています」



見上げる形になった、私と名前はいつもと逆で。太陽の光の影で美しい顔が半分ほど陰なっていた。
「……ほ、んと?」
ツンデレだった時代にも見たことのないような女性の顔をしていた。一度も聞き入れなかった、私の言葉を聞き入れた瞬間だった。歓喜の声をあげて、喜びを伝えたくて仕方なかった。
「ええ」
力強く、そう宣言したとき……丁度、私の視界の隅っこをそれはそれは、美しい女性が横切った。私はそれに思わず目を奪われてしまった。そう、いつもの癖で。その瞬間に、私は背中に足蹴を食らうのだった。ああ……もう、二度と私の言葉に耳を傾けてくれないかもしれない……。折角、少しとはいえ心を開いてくれた感があったというのに、なんと惜しいことを……!でも、私は諦めませんよ!愛しているのは貴女だけだと囁き続けます!


  


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