香芽



カラッと晴れた、天気のいい日。きっと、今日干しておいた毛布はお日様の匂いでいっぱいなんだろうな。ぽかぽかの陽気が体を包み込んでだんだんと暖かくなってきて、気が緩んで欠伸を一つ。大きな口を隠すように手のひらで、口元を隠すが、生理的に出てきた欠伸による涙は隠せなかった。フェンスに寄りかかって、目を下にやると豊かな緑と整備されたグラウンド、それから緩やかに吹き抜ける風。


「眠たそうだな」
香芽先輩も、一緒にフェンスに背を預けた。鱗雲を見上げて、雲に隠れた太陽が少しだけ顔をのぞかせた。
「そうですね……、お昼を食べた後だと余計に……眠たいです」
嘘偽りなく、眠たいと言うと香芽先輩が僅かに口元を持ち上げて「だろうな」と言った。香芽先輩といられる貴重な時間なのに……と心の中では思っているのに、三大欲求には勝てない。フェンスに寄りかかったまま、目を瞑って力を抜く。ああ、また……欠伸が出てきた。


「俺といながら、寝るつもりか。いい度胸だな」
不満げな、声が横から聞こえてきた。確かに申し訳ないとは思っている。だけど、もう駄目だ。そのまま、目を瞑ったまま「すみませ、ん……」とだけ僅かに聞こえるレベルの掠れた声で言った。
「へぇ、それはどうなっても構わない……ということだな」
私に意地悪なことをしてくるときの、声音だった。あ、やばいな……と薄れた意識の中でぼんやりと思った。


「昼寝なんかさせない」
それから、チュ、というリップノイズと共に額に柔らかな唇の感触がした。私の安眠は保たれないのか。


  


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