香芽



!お互い異常。異物混入とストーキング。胸糞悪い表現あります。→前作「ロクデナシ


何も知らずに、私が作ってきたお弁当を美味しそうに食べる香芽先輩。外でベンチに座りながら、膝に乗せた弁当箱をちらりとばれないように流し見た。せんぱーい……知っていますか?私のこと何処まで知っていますか?何も知らないですよね、先輩って。でもそういうところ大好きですよ。あの時も香芽先輩が一番心配してくれて、本当嬉しかった……。
「先輩、美味しいですか?」



香芽先輩は口に含んでいたものを、飲み込んで目を細めた。
「ん、美味しいよ?」
私もニコリと笑う、本当は別の意味で笑いがこみ上げてきているんだけどね。でもね、それは内緒、内緒。そんなことばれたらどんなことになるか、わかったものじゃないわ。ま、自分からバラすきなんて……更々ないけれどね。知らないからこそゾクゾクしちゃう!香芽先輩は私のものよ、野生中の女生徒ザマァミロ!あはははは!私は香芽先輩の、血肉となって全てが一緒になるのよ!
「よかった」
「……ご馳走様」
全部たいらげた香芽先輩がお弁当箱の蓋を閉めて、私に返してくれた。私はそれを受け取って、ベンチの端っこに置いた。
「また、作ってね」
「勿論ですよ」
……ま、何を入れたか知らない先輩はそういってくれるに決まっていますよね。



「腹いっぱいで眠くなってきたなぁ……」
俺は空をのんびりと眺めた。雲の流れが今日は速い。名前も眠たそうに小さくあくびをした。……なぁ、お前さ俺が気づかないとでも思っていたわけ?……お前が何しているのか俺知っているよ?お前さ、おかずとかに血混ぜているだろ。俺、知っているんだよ?名前がいつもなんで長袖着ているかとか、よく指を隠す理由もな。お前の腕と指わざと傷つけて血入れているから見せられないんだろう?ははは、可笑しいよな。俺もそれを知っていながらお前の弁当食っているし。



まぁ……俺も似たようなもんだし。同類だよな。お前が俺と付き合う前に誰かにストーカーされているかもっていったやつ。覚えているか?覚えているよな?だって、お前ずーっと脅えていたもんな。忘れられるわけないよな。あれ、俺なんだよ。名前がさ、まぁ、気づいていないだろうけど?名前って、結構鈍感だしな。でも、そのほうが幸せかな……?よく、お前がビクビク辺りを見回している姿を近くで観察していたよ。あ、そういや、無言電話なんかもよくやったな。酷いときは、動物の死骸もお前の玄関に送りつけたよな。お前いつも、脅えて震えていたよな。本当可愛かったよ。泣きながら俺に頼るお前はさ。やっているのは、俺なのにそれをわからずに頼るお前に俺、家で笑い止まんなかったよ。正直、お前の前で平静を装って慰めるの、凄い大変だったんだからな。ああ……本当にイカレているのはどっちだろうな?名前。


クデナシ


  


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