風丸



風丸

「風丸〜……シロップパス〜」
カキ氷にするために削っていた氷の欠片が、床に少しだけ落ちていてこの暑さで水滴になっていた。必死で動かしていた手を止めて、風丸にシロップを渡してくれるように頼むと風丸がいくつかシロップの入った色とりどり鮮やかな、瓶を見せて聞いてきた。私といえば、カキ氷作るのに時間を費やしていたせいで少しだけ汗をかいていた。早くこれを頬張りたくて仕方がなかった。
「何味にするつもりだ?」
赤色、青色、緑色。正直どれでもよかったので適当に「どれでもいいよ」って言うと
風丸は少しだけ悩んだ風な仕草を見せたが、すぐに二本の瓶を奥にしまいこんだ。青い液体の入った瓶だけが手元に残る。それを私に手渡した。



どうやら、今日はブルーハワイに決定らしい。嫌いではない。二つ大量に盛られた、細かく砕かれた氷の上にドプドプと多めに青いシロップをかけた。すぐに無色透明だった氷は鮮やかな青色に染まった。氷をスプーンですくって一口、口に入れた。風丸ももう一つの器に盛られたそれを、スプーンですくって少しだけ食べた。鈍い痛みが少しだけ頭にきて、こめかみの辺りを押さえた。
「冷たくて歯にもしみる……!」
「溶けるぞ」
風丸は、苦笑いしながら涼しい顔で、食べている。苦しんでいる私を横目でみたあと、少しずつ溶けていくカキ氷に目をやった。言われなくても、私の胃袋におさめてやるつもりだ。



それにしても、ブルーハワイのカキ氷の色と風丸の髪の毛の色が……同じ色だ。見事に同化している。変な発見を、頭にとどめておいて私はまた、カキ氷を頬張った。自分の汗水流して作ったカキ氷だからか、とても美味しかった。


  


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