平良



お昼のチャイムが、今日の午前中の授業の終わりを知らせてくれた。私は大きく伸びをして、お弁当を手に取る。中身を崩さないように慎重に、水平に保つ。この間は、お弁当をあわててお弁当をさかさまにしてしまって、中身が凄惨なことになっていた。前回の教訓を生かさないほど、私は馬鹿ではない。学習をするのだ。それにしても今日も、とてもいい天気だ。程よい日差しは暑すぎず、寒すぎない。屋上は今頃きっと、誰かが占領しているだろうけど。あそこは人気だから仕方ないことだ。



長い廊下を、歩いて三年のいる三階の階段を上っていたら、目的の人物が階段を降りてきた。教室まで行く手間が省けた。毎回顔を出すと部灰先輩や他の先輩方がニヤニヤ笑っているから気恥ずかしいし……。平良先輩を呼んでくれるのはありがたいけれど、対応には困ってしまう。
「あ、平良先輩。今、行こうとしていたんですよ〜」
お弁当を片手に声をかけ、空いている片手を振ると平良先輩は「俺もだ」と、照れたように(実際照れている?)はにかむ。



「先輩、また、コンビニで買ってきたんですか?」
呆れたように視線をガサガサ揺れ、音を立てているコンビニの袋に向けた。
「俺が自分で作ると思うか?」
平良先輩はふっ、と鼻で笑う。最近は毎回毎回コンビニとかで適当に買ってきているのだ。確かに平良先輩が自炊するところなんてあまり、想像できないけれど……冷凍食品を温めたりするくらいは出来るだろう。だが、その労力を惜しむのだ。
「作れなくはないでしょう。調理実習で作ったもの前くれたじゃないですか」
食べたけど、普通においしかったし。と付け加えると平良先輩が柄にもなくあせったようだった。



「あれは、他のクラスメイトもいたし……。俺、殆ど手を加えてないんだ。あ、そうだ。……そんなに、心配ならお前が作ってくれよ」
どうせ、結婚したら毎日作るんだし!いかにも、俺、頭いい!と言わんばかりの顔をしていきなり今さっき思いついたような爆弾発言をかましてきた。……拒否権はほぼないだろう。明日から一人分多く作らねばならないらしい。



  


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