風丸



コンクリートの地面に、タオルを重ねて置いてその上に頭を乗せ寝転がった。直は少しだけ抵抗があった。今日はもう、サボってやると決めていたから屋上の風も清々しく感じた。風に少し煽られて、自分の髪の毛が頬をくすぐった。煩わしくなって少し手で束ね、どかした。全ては安眠のために。昨日夜更かししたのがいけなかった。宿題を素で忘れていた私にも問題はあるが。終わらせた頃には何故か空が、新しい朝を告げていた。窓から差し込む日差しに、私はやってしまった……。と思ったが、何もかもが全て遅かった。まさか、ずる休みをするわけにもいかず。(親もそれは許してくれないはずだ。)何とか学校に這うように、来たものの恐ろしき魔物。睡魔には勝てるはずも無く、授業はうつらうつらしていた。先生に当てられたときは、肝を冷やしたが友達がフォローしてくれた。持つべきものは友である。



そして、今に至る。このまま、誰も来ないでくれればもう最高なのだが。……来ても、面倒だから寝たふりをすると決め込んでいるけれど。重たい瞼をゆっくりと、閉じて風の音を聞いていたら……ドアのほうからガチャリと金属音が聞こえてきた。……来客、か。と思いながらも対応するのが面倒なため、寝たふりをする。声が頭上から聞こえた。
「こんな所にいたのか……」
……風丸か。呆れたような口ぶりに、まだ近くに居るのか気配を感じる。必死に寝たふりをして、早くあっちに行ってくれと心の中で願っていた。安眠を妨害されては溜まったものではない。狸寝入りはばれていないのか、独り言のように風丸の声だけが聞こえてくる。



「……寝ているのか……?」
風丸の気配が少しだけ、近くなった。だいぶ近い気がするが……此処で狸寝入りだとばれるほうが面倒だったので、必死に寝息を作る。本当に寝ているのかどうか、確認でもしているのだろうか?顔が近い気がする。吐息がかかる。薄目を開けて確認でもしてやりたいが、心臓に悪いからやめておこう。額に何か柔らかいものが当たったのと同時に、リップ音が聞こえた気がした。それからすぐに、風丸が逃げるように駆け出していってしまった。バタバタと音が聞こえた。風丸が居なくなったのと同時に、鉛のように重たい体を起こして額を押さえた。





  


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