佐久間



!佐久間が変態



「みえたっ!!」
私のスカートが風で靡いたと、同時にそんな下品な言葉が聞こえてきた。
「見えるわけがないだろ!!」
声のした方向に、地面から拾い上げた大きめの小石を投げつける。綺麗な放物線を描いたそれは見当はずれの方向に落ちた。ちっ、はずしたか。甲子園目指すしかないようだ。いつもどおり、変態に目を向ける。相変わらずいやらしい笑みを浮かべている。何か企んでいるような笑みだ。
「今日は、ピンクか……。俺は昨日のほうが好みだな」



何故か大当たり。こいつはエスパーか何かなのだろうか。それとも、覗きとかしていたのだろうか。後者ならば私はこいつを警察に引き渡す作業をしなければならないし、エスパーだとしたらこいつを絞めて二度と見ないように誓わせるまでだ。その素敵な銀色の髪の毛をばっさり、切り落としてやる。落とし前つけてもらおうじゃないか、われぇ!ってことです。
「……」
私が軽蔑の眼差しを向けていたら、息を荒げた奴が「昨日は水色だったよな」とか言ってきた。何故、わかる。間違っていないから余計に気持ちが悪い。何こいつ。大体、さっき風が巻き上げた時だって膝までしか見えなかっただろうし何より……今日も中にちゃんときっちり短パンを穿いてきているわけだから、見えるわけがないのだ。



「相変わらず、最低だな……」
「でも、間違っていないだろう」
間違ってはいないが、頷いたら負けなので私は頷かない。だけど、佐久間は確信しているらしく、笑うだけだ。
「佐久間、何でそんなに残念なの?馬鹿なの?死ぬの?」
銀色の細い髪の毛に、ペンギンが好きなところとか、色々女子の好きな要素みたいなのは兼ね揃えているはずなのに……。こうも残念だと、好きになれない。被害をこうむるのはごめんだ。
「因みに、何で下着の色を当てられるの?コツがあるとか……?」
……そういう珍妙な技が使えるってことは、だ……。テストのときも見たいときに見放題、無修正。しかも、ばれない。何のリスクもない。カンニングし放題、ひゃっほー!ってことでしょ。うわー……。是非、技をご教授願いたいものだ。え?悪用……?いやだなぁ、するわけないでしょう。カンニングなんて人間のすることじゃないぜ。本当本当。



「うーん……愛だな」
考える間もなく、佐久間が唇の端っこを少しだけ持ち上げた。茶化した様子があまりなく、いつになく真剣で心臓が音を立てた。前にも言ったように佐久間はもてるし、格好いい。だから、真顔でそんなこと言われればいつもの変態行為があっても心臓は音を立てるのだ。意外と単純だが……イケメンにこんなこと言われれば、誰でもなる。自然の摂理だ。仕方がないんだ。私は佐久間を好きではないけど、あれ?好きなのかな?兎に角、これは不可抗力なんだ。
「……佐久間……」
「他の奴の見てもしょうがないしな……。おかずにもならな「最低だ、地獄に落ちろ。」


悪め!


  


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