兵頭



兵頭君の言葉はたまに、古風すぎて理解に苦しむときがある。兵頭君は他のクラスの男子よりも格段に落ち着いていて、大人っぽい。好きな物も渋い物が多いので、本当は何か事情があって隠しているだけで大人なのではとすら私は思っている。兵頭君との馴れ初めもまた、奇妙な物で私が廊下を急いでいた時にぶつかったのが馴れ初めだった。これだけならば、前述のように奇妙ではないのだがその筋肉質で大柄な体系と、古風な口調で注意されてしまえば、やばい、先生だったんだ!内申点が下がる!と思ってしまうのは当然の事だった。その場で、何度も謝罪をしながら見上げると兵頭君は困ったように「同学年であるからしてそのように、詫びられても困るのだが……。それに、そこまで怒っておらん」そう言われてようやく顔をあげて、確認すると同学年であることが判明できるものが制服についていた。ただ、組は違うようであったが。



それから、たまに会うと会釈をするようになって。兵頭君と話す機会が出来るようになった。今も慣れてきたとはいえやっぱり、同い年とは思えないくらいに落ち着いていて何処か古風だなと思う。今どきの男の子というには落ち着きすぎているのだ。しかし、嫌いではなかった。チャラチャラした男の子なんて信用に置けないし、これくらいどっしりと構えてくれている男の子の方がよっぽど好感が持てるし安心感もある。なんて、兵頭君が好きだから好きな所ばかりが目につくんだけどさ。「先刻から、どうした。ニヤニヤ笑っておるが、愉快な事でもあったか?」お主が笑っておると、何故か心が温かくなるな。とはにかんだ。私も同じことだ、それを共有している。



「……、お主を好いている」ああ、流石にこれはわかる。照れ隠しに、顔をすっぽりと兵頭君に埋めてみた。「急にらしくもない」「否、たまに言わねば伝わらぬことも多々あるからな。特にこういうものは疎い上に、女心などという物とはわからぬ」「初めて聞いたかも」どちらかというと直接的な表現を兵頭君はしない、遠回しに好意を示してくれる事か態度で示す事が多い。言葉の重みを知っているのだ。だからこそ、私も言葉にはせずに兵頭君と同じように態度なんかで示す。だから、直接的な物は照れてしまう。「少しは顔をあげてくれぬか」「やだ」「何故に?」「恥ずかしいから」だって、その言葉を聞いたのは付き合う前に聞いた初めの一回きりだ。照れるなと言うほうが難しい。それに、自分が今どんな顔をしているか、なんて予想するのはとても容易いことだ。



ちゅうがくせい!

  


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