人は赤司征十郎を天才だとはやし立てる。しかし当の本人はさして気に止めもしないのだ。それは己が特別だと自負しているからなのか、周りの視線自体に気付かない鈍感気質なのか。

──しかし問題はそこでは無く。

赤司征十郎は己を顧みない部分が合った。チームメイトが内部論争を起こした場合も身を粉にしては解決策を練る。練るに練られた解決策は被害にあった者達のトラウマとなりうるものであり、赤司征十郎を恐れては敵視する者が増えてしまったのだ。

「大丈夫だ、問題無い」

それのどこが大丈夫なんだと青峰大輝は赤司征十郎の殴られた頬に湿布を貼った。べチリと音を立てて貼られたそれに「…冷たい」と呟きはするが、そんな呟きは右から左へ流される。

赤司征十郎は所謂マゾヒストであった。天性の、と言う訳では無く、赤司征十郎自身にいたぶられた人間に嬲られる己を想像し、妄想するのが彼の性癖である。中学一年生の頃から付き合いがあったキセキの世代と謳われたチームメイト達は既にそれを知っており、初対面からやけにイタい所を突く男だと認識もしていたが、それさえも赤司征十郎の興奮材料として使われていたらしい。

溜め息を吐いてから青峰大輝は赤司征十郎の頭を叩いた。物理的な痛みを好まない彼にとって、脳内に響いた音はやけに吐き気を誘う。


「精神的にクるのがいいんだ」と真顔で言われたと泣きべそをかいていた黄瀬涼太を思い出しつつも、未だに懲りていないキャプテンに青峰大輝は小さくもない溜め息を漏らしたのだった。




*物理的にMなんじゃなくて精神的にM。いたぶるのも好きだけど、一度コテンパンにやった奴らにあらゆる手を使って仕返しされる自分を想像してゾクゾクする赤様。

SでもMでも大丈夫なリバーシブル的な人。

ふぉーゆー!ゆたろー

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