高校一年生である杏の兄二人は双子である。二卵生双生児と言った類いのものらしく、その言葉の意味を杏が理解をしたのは中二の夏だ。今は教師をしている凌だが、杏が小学生の頃に住んでいた親戚の家を出て、山奥にある天文を習う男子校へと足を踏み入れた経験がある。凌の片割れである梢は病弱ではあるが、色々な個性豊かな人脈に恵まれて無事に高校を卒業し、大きな企業を立ち上げた。

杏が生まれると同時に亡くなった母親の顔は知らない。凌も梢も杏に教えようともしないのだ。理由は察してやれと親戚である叔父は笑うが、如何せん未だ子供だった杏は納得がいかないのだろう。兄達を罵倒し、挙げ句の果てには嫌いだと近所に聞こえるであろう声音で叫んだのだ。

後から杏はその話を兄二人に掘り下げられては顔を赤く染めて凌に飛び蹴りをかますのだが。

杏は高校生でも身長が150あるか無いかの低身長だ。それをコンプレックスとするのも当たり前なのだが、如何せん兄二人は180を越えてしまっているので杏には何故か希望が絶えないのだ。

「兄貴がデカいんやから僕もデカなります!!」

上記は中学に入学した頃からの杏の口癖になっていた。大阪生まれの京都育ちである杏はごちゃごちゃになった方言を気にせずに薄い唇を弧に描いては言う。──そんな杏を見て、兄二人はこっそり笑うのだ。

「ほんま、杏は仕様がないわ」
「そこが可愛らしいとこやないの、杏くんの」

ブラコンですが何か?をモットーにする兄二人はそう零す。年の離れた弟を結局は溺愛しているのである。

───まあ、弟である杏もまた然り、だが。

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