手に当たるボールの感触が好きだ。打ち返した時の歓声や驚愕の声が好きだ。俺はやれるぞ。そうやって叫んでいるような、訴えているような、俺の存在を今この場所に轟かせているような微かな歓喜。楽しい。楽しい、楽しい。心の底からそう思えて、心の底からそう叫ぶ。俺だけが見ているこの景色は俺だけにしか見られない。全てがそうであるようにと願って縋り続けたから今があるんだと思えたんだ。

「…何が言いたいか纏めてから言え!」
「いっつ!!」

殴られた頭を押さえながら冷静になれと脳に訴える。バレーの話になると口が止まらなくなるんだよなと思いながらもそんな俺を見下ろす影山を睨みつけた。んだよ、なんて不満げに俺を見下ろす王様はいつもと変わらない。もう少し柔らかくなんねーの?ぶっ殺す。ギリギリと締められる首に回った手を解こうとしてもそれは叶わず、あ、やべ、

おち、た。

「日向ーーー!!!」

あれ、田中先輩の声聞こえるや…、。

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