「ねえ、青峰くん。私太った?」
「あ?知らねーよ」
「もう!……ほっぺとかお肉付いたような気がするんだけどなあ…」
溜め息を吐きながら自分の頬をぐにぐにと引っ張るさつきにそんなもんかと首を傾げながらも、一歩後ろに下がって隈無く全身を見つめる。「……そんな変わってなくね?」小さく呟いたオレの言葉が届いたのか、さつきは頬に手を当てたまま此方を振り向いて「きーちゃん!青峰くんが乙女心分かってくれない!」と叫びだし、テツに抱きついていた黄瀬が「分かって無いっスね青峰っち!」とドヤ顔で視線を与えてきた。うぜえ。
太った太ってないを言い合っていた事を知ってか知らずか、いつの間にか黄瀬から逃れたテツがさつきの頬に右手を添えて首を傾げる。それだけで吃るさつき。何故か二人を見てきゃあきゃあ騒ぐ黄瀬。何だこいつら。
「ボクも青峰くんと同じ意見です。桃井さんは太ってませんよ」
「そそそそっ、そう…かなっ…!?」
「はい。寧ろもう少し太った方がいいかもしれません。手首だってこんなに細いですし…」
流れる動作でさつきの手首を掴んだテツに近付いて覗き込む。テツの小さい手で難無く掴めた手首は細い。それを目の当たりにしてオレの中で何かが首を傾げながらも、いつもとおなじようにさつきの肩に顔を乗せる。───…つーか、
「痩せたらこのおっぱいともさよならって事だぞ?」
「別にいいよ!何キロもあるんだから!」
「うわ、キロって…マジか」
「マジだよ!!青峰くんはおっぱい星人だからあれだけど、重いんだからね!?」
ふんっと鼻を鳴らしてそっぽ向いたさつきの胸を見下ろしながらそんなもんかと頷く。いつの間にかさつきの手首を離していたテツに勢いよく叩かれた頭に「な、っにすんだよテツ!」と怒鳴ってから肩越しにさつきの顔を見上げて笑った。
「まあ、このおっぱいはオレんだから勝手に減らすんじゃねーよ」
「───っ、揉むなバカ!!!」
あれ…なんか違う?
ふぉーゆー、ゆたろー!