相棒って役得だと思う?

如何に、どうやって距離を縮めたかが問題な訳じゃなくてさ、距離を縮めた後にどうやってそれを保ち続けるかが問題なんだとオレは思う訳。距離を縮める事よりも、離す事よりも、保つ事が難しいんじゃないかなって思うんだよ。これは経験とかじゃねえし、オレはそこまで達観したつもりも無い。

ただ、どうしたら気付かれないで済むか。一番大事なのはそこなんだよ。気付かれた時点できっとゲームオーバー。コンティニューなんて出来やしない。オレだって分かってんだよ?知ってしまう事が負担になるだなんて分かりきってるし、負担になるぐらいならオレは今の関係を保ち続ける事に努力は厭わねえ。…それこそ自己満足だって?そんなのお前に言われたくねえよ。

結局凡人は手の届かないものを羨んで欲しがる。…まあ、お前は、また違うんだろーけど。情けねえよなー。いつもいつもこうやって話聞いてもらって、あ、笠松さんまですんません。いや、でもまさか笠松さんは言い寄られてる側とか思わないじゃないっすか。え、オレの話?あー、はいはい。続けます!続けますから蹴らないで!

───……っと、まあ、あいつは変に鈍いし、鋭いから気付かないと思う。伊達に隠してねえし、この目のお陰か人を見る目は誰よりも特化してるつもり。あいつの些細な変化とか言動とかもあいつに勝つ為に伸ばした能力の全てを、オレは結局あいつが笑ってられるように使ってんだけどな。あいつ最近よく笑うんだよ。想像つかないって?それならオレだってお前の相棒の笑顔なんか見た事ねえっての。

女王様みたいな一面だって、仲間想いな一面だって、全部が緑間真太郎を形作る一部にしかすぎねえじゃん?まどろっこしい事抜きにして、オレは緑間が好き。もう、すっげー愛しちゃってんの。緑間が大事だってオレに紹介してくれるぐらいの女の子がいつか現れたら、その隣で緑間が笑ってるなら、潔くオレはたいさーん!ってな!オイオイ、黒子まで笑うなよなー。って、あ、オレ初めて黒子が笑うところ見たかも。これが火神をメロメロにした笑顔な訳ね。

え、火神気付いてなかったのかよ。黒子の奴、最初から笠松さんの隣に座ってたし、笠松さんも気付いてたんすよね?…ほら!火神だけ気付いてないとか相棒としてどーよ?そんな火神くんを驚かすのも好きですから…って、うわー!ナチュラルにノロケられたんですけどー!笠松さんどう思います…って、え、黄瀬からメール?なんてなんて?『今笠松センパイの家の前っス!(^ω^≡^ω^)』───…うっわー!こいつモデルだからって絵文字使いやがって、つか笠松さんちの前って此処から結構離れてんじゃないすか?あ、帰ります?わざわざ神奈川まで悪いなっていやいや、オレの方こそあざーす!はいっ、また夜にでもメールするんで、わんこによろしくお願いしまーす。

…………あー、笠松さん帰っちゃったな。…黒子と火神は時間いけんの?だったらさ、今から緑間も呼んでストバス行こうぜ!身体動かしたいし、いいだろ?よし、決まり!じゃあ、今から真ちゃんにメールするからちょい待ちー。







「火神くん」

「…んだよ」

「ボク、あの二人がくっついたらいいなあとは思うんです。でも、緑間くんは一度失敗してるから、きっとそれも難しいんだと思います」

「………それをどうにかすんのが、相棒の役目だろ。つか、高尾ならやれんだろ」

「君がボクにしたように、ですか?」

「っ、てめ!!」

「冗談です。…まあ、彼等なら大丈夫でしょう。何たって、秀徳の光と影です。ボク達でもどうにかなった事を彼が出来ない訳がありません」

「えらく高尾の事買ってんだな」

「当たり前です。緑間くんが認めたパートナーですから」



「おーい!黒子も火神もこっち手伝えってー!真ちゃんのラッキーアイテムのドラム缶運ぶのオレだけじゃ無理だから!!」

「だからオレも持つと言ってるだろう」

「真ちゃんは指が大事なんだから却下!ほらほら、バカガミ早く!!」



「呼ばれてますよ、バカガミくん」

「うっせー、聞こえてるっつーの」



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