パッションピンクの髪からまた同一の耳を生やしてそれを動かしながらうっとりと銃を眺める。隣でガチャガチャと双子が何かをやらかしているようだがチェシャ猫はそんな真反対の色を持つ二人に「静かにしてろよなー」と声を上げた。

「何言ってるのボリス」
「そうだよ。猫がいつ人間に楯突いていいって言われたの?」
「「ねえ、兄弟」」

赤と青の双子はチェシャ猫を見たかと思うと、視線を合わせるようにお互いを見やり左右対称的に首を曲げた。幼い身なりに酷な事を言うのが余所者の言う一般常識だったが、ぬらりくらりと色々な領土を練り歩くチェシャ猫に関係は無い。逆に子供だからと侮る事なかれ。

ブラッディ・ツインズと呼ばれるまでに人を処分してきた子供を誰が可愛いと言うのだろうか。己が手塩にかけて改造したこの銃の方がよっぽど可愛いに決まってると金色の目を細めながらチェシャ猫は笑った。それを見ていた双子は再度顔を見合わせて頷く。ほぼ同時に投げられたナイフが頬を掠り、チェシャ猫は頬をひきつらせた。「何のつもりだよ」「「暇だったから」」それなら此方もやってやるとチェシャ猫は手許にあった銃を打ち鳴らす。

「お前らの暇つぶしに付き合う俺っていい猫だよなあ」と耳をピクピクと揺らしながら金色の目を爛々と輝かせたチェシャ猫は己の部屋の窓ガラスに突っ込んで外へと出たが、双子が投げた斧が左右の地面を抉った。それを見てチェシャ猫は馬鹿にしたように「ちゃんと俺を狙えよな!」と愛銃を取り出して双子に向ける。いつの間にか大人の姿になっていた双子は、長い髪を揺らめかす赤い男と短い髪をうざったそうに払う青い男の姿でチェシャ猫を追った。

「兄弟!僕は尻尾が欲しいなあ」
「僕はね兄弟。あのモフモフしたファーが欲しいよ。それを奪ったら」
「「ボスに頼んで臓器を売ろう!」」

声を合わせて走り出す双子を撒くようにチェシャ猫は駆ける。サバイバル(暇潰し)の始まりであった。


byクローバーの国のアリス

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