「…ねえ、こんなところで寝てたら干からびちゃうよ。おねいさん、起きて!」


最初は声を掛けるだけだった。反応が無いのでアラジンはリルラを何度も呼ぶ。年頃の若い女がこんな場所で何をやっているのか。

それはリルラ本人も知りたいところだ。未だに意識はこちらに無いが、先ほどまでは別空間にあったのにまるでゴミのようにもう行け、と捨てられるように。その存在は世界へ落ちたのだ。地上からは空から降ってきたと錯覚するような。太陽から生まれた少女。名付けるとしたらこうだ。




何故裸でこんな熱帯にいるのか。アラジンは放っておくことができなかった。なんとなく、離れちゃいけない。ルフが導いてくれた気がするから。

周りのルフがまた鳴き始めた。喚くように。本格的に起こさないとリルラの身が危ういらしい。今まではルフが邪魔をして見えなかったが、うつ伏せの姿は裸同然であることに驚くアラジン。それを銀色のルフが隠すようにして飛んでいる。



「おねいさん、」




ちょん、と指先がリルラの背中に触れたときアラジンの身体に電流が走った。ほんの一瞬、ぴり、と。不思議とそんな痛みはなく、いつの間にかリルラといる空間、正しくは彼女のルフがとても心地よく感じた。表現するとしたら、安らぎ。




どうか目を覚まして。
僕はきみに会うためにここにいるんだよ。








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