この世界の第一印象、その一。区別されてること。王と民。魔道士と村人。マギと、。迷宮攻略者だって。その二、魔法が使えること。送り込まれる知識を一斉に受けて、魔法が使えるのかと安堵する。全てはここから。喚ばれた理由を知りたい。無の空間からリルラは上へと手を伸ばす。空を切るだけで何もない。

ここは生誕の地。リルラだけの空間。周りには白い鳥が飛んでいた。

「これが、ルフ」

魂の根源。魔力の原典。リルラはルフを使役は出来ないが協力はできる。それこそマギに近い存在。ルフからの加護を受け、共に戦う。マギじゃない、存在。当て嵌めるとしたらそれが一番なのに。マギは世界に三人しかいないという制約からリルラは当てはまらなかったのだ。例外はそれとなくいるが。また部外者。

「…っ!」


急に右目に痛みが走る。あまりに突然だったので片足を着いた。霞む視界で何とか光景を捉えようにも、途端に視力が落ちていく。痛い。痛くて右目が無くなりそうだ。熱い。抉られるような感覚に負けそうになる。拭おうとした。でも血は一滴も出なかった。不思議より不気味。この痛みは昔、生きたときに感じた痛み。確か光珠。
すると、こちらを見る存在に気付き声を上げる。

「――誰?」

「きみは気配に鋭いね、わかってしまったか」

見えたのは青い巨人。
右目は健在。見えてないことはなかった。物の気配に敏感になったり、相手の魔力量が見えたり出来るようになった。


「今丁度気付いたよ。…この右目の意味は?」

何処からともなく聞こえる声に淡々と答えていく。男の声なのはわかるが、人物の判明は難しい。

「"抑制"するため。リルラの力をね。解放するときは自分で見定めてくれればいい。リルラ自身魔力も相当な量だ。ルフの協力を元に闘ってほしい。きみは負けないし死なない契約なのはわかっている。…だけどこの世界の運命には逆らえないのもわかってくれ」

「…ふーん、じゃ何のために喚んだの?世界の何かを変えるためじゃないの」

「ああ、世界の異変を止めるためにきみに協力してもらう」


ルフが右目に集まる。そして段々と形を為していく。あ、これは。

「眼帯…?」

「金属器。本来は迷宮攻略者じゃないと駄目だけど、きみは特別みたいだ。どうしても付いてきたいらしい。
…あと、ほらよくみたら、太陽と月の模様があるだろう?これは将来きみに下された選択だ」


そう言って見てみれば、確かに脇に四つの石が埋め込まれていた。青龍、白虎、朱雀、玄武。
何だか愛しいと思える。自らの力に何を思い入れているのかと。でも彼らは良き相棒だ。それに丁度よいだろう。マギに選ばれた王候補と呼ばれるものには契約したジンがいるのだから。減ったもんじゃない。
まあ、少しくらい特別でもいいよね。その意をこめて彼に意識を向けたら嬉しそうにこう言った。

太陽と月。男はそれ以上は踏み込まなかったがきっとわたしにとって大事なことなんだ。



「それと、リルラ。きみに俺の友達を紹介しよう」


そしてリルラは聖宮へと飛ばされる。








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