いつまで働けば俺は解放されるんだろうか。柄にもなくそんなことを思ってしまう。毎日荷車に乗って運び屋をして。何も楽しくない人生を送って死んでいくのかな。なんて。そんな夢は下等な者が見る貧相な想像だと笑ったプーデル。確かに、俺は下等な人間かもしれない。だけど人の夢を希望を嘲笑うのは許せない。俺はまだ笑われてもいいが、他の人が、たとえ見知らぬ人であっても馬鹿にされるのは凄く嫌なんだ。

その日はいつもより少し暇で、休憩も長かった。ちょうど迷宮の近くに止まったから水浴びを少しした後、そこで寛いでいた。誰が入っていって帰ってこなくなるのか、なんとなく見てみたかったから。まあそんな昼間からいるわけないんだけど。



「…?」



夕方になる頃、人影が見えた。ただ影は入り口に立つだけでそこから動いていない。性別の判断はそこでは難しかった。だから近づいて声を掛けることにした。次はこの人がいなくなっちゃうのかなあなんて、不謹慎にも思ったり。
影は女の子だった。年はさほど変わらないであろう。ひとつ下か同じか。格好は武器なんて持っておらず。魔法使いなんだろうかと思っても彼女に確証させることだって出来ない。見ず知らずの相手なのだから。短い茶色の髪の毛が風に揺れていた。風なんて吹いてないのに、彼女の周りだけはいつも何かが動いていた。それが特殊な力だとも知らずに。何でこんなところに?聞いたら、知りたいことがあるからここの主に聞くんだとか。何だかこの子は大丈夫なんだと確信があった。終いには約束をした。この迷宮は俺が必ず攻略するからしないでほしいと。約束というか一方的なお願いだったのに、彼女、リルラはわかったとひとつ返事で了承してくれた。



「アリババ…くん?」

「呼び捨てでいいよ!な、俺もさリルラって呼んでいいか?」



リルラには今までの俺やこれからの俺の夢を話したりした。笑って聞いてくれるリルラに心が軽くもなった。何となくだけど、居心地がいい。



「いいよ」

「よっしゃ!じゃあ、行ってこいよ。んで出れたら俺に感想聞かせてくれ!」



出るってことは攻略してるも同然だよ、と突っ込むリルラ。やってしまったと頬を掻く俺。



「うん、行ってきます」

「俺、ここでちゃんと見てるから」




リルラの姿を。そういえば、リルラ眼帯してたな。目が見えないのかと心配してもう一度声を掛けようとしたけどそこにリルラの姿は無かった。




生きて帰ってこい、絶対に。







「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -