足取りは軽く、装備を確認してから迷宮の入り口と呼ばれる場所に立った。見た目は至って普通の建物。資料がたくさん置いてあるような施設にもみえる。ここが、迷宮。想像とは全然違う。もっと森の奥とか人目につかないところにあるかと思ってた。でも迷宮が出る場所に限定は無いらしく。マギが出そうと思って出るとか。迷宮出せるなんて相当な力が必要じゃない。マギだから。そんな理由で全て丸く収まっちゃうもんだから凄いよね。世界は簡単なんだ。




リルラは気づかなかった。それまで自分を見ていた存在がいたことに。



「あの!」

「…っはい?」


迷宮を見つめていたリルラに何の用が有るのか。金髪の青年はリルラに声をかけた。みすぼらしい青年の服装。額にある汗を拭いながらこちらへと向かってきた。



「ああ、いきなりすみません…。貴女のような方がこんな所にいては危険ですよ、って言いたかっただけなんです」

「それなら大丈夫です。わたし、ここに用あるんで」



「え!?」と驚きの声が上がった。わたしに迷宮が危険があるのをわざわざ教えてくれたのは有り難いことだが、生憎か弱い女の子って訳でもない。忠告、ありがとう。何をしに、と彼は訪ねた。言って困るものでもないから正直に答えた。




「ここでジンに会ってわたしの知りたいことを聞くの」

「…貴女は、マギなんですか?」

「マギ?違うよ。そんな高貴な者じゃない。わたしはリルラ」

「俺はアリババといいます!いつかは迷宮攻略したいと考えていて…その、出来ればアモンは……」


「大丈夫。攻略しない。ジンに会うだけだよ。最も相手が認めてくれればね。だから、頑張ってくださいね」




青年はアリババと名乗った。今はどんな仕事をして生活を何とか凌いでるのかも聞いた。そんなアリババにも夢はあって。迷宮攻略して力と財産を手にいれてやらなきゃならないことがあるだとか。大変なんだね、と適当に相槌を打ち二人の仲も解れてきたところでリルラは立ち上がった。




「じゃ、アリババくん。またね」

「おう!また会えるよなリルラ!」



振り向き様に微笑みを残してリルラは迷宮の入り口へと立つ。アリババはリルラが吸い込まれていくその瞬間まで決して目は離さなかった。彼の仕事の休憩時間はとうに過ぎていた。








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