少年の名はアラジンと言った。記憶に新しいその姿を忘れるわけがない。この子は、ウーゴくんが紹介した友達だ。わたしは知っている。だけどアラジンも知ってるなんて。彼もわたしと同じくウーゴくんから紹介を受けていたとか。なら辻褄があう。やり方が少々やらしいけど。その場で会わせればいいものの、 ウーゴくんが、いや主ソロモンが、基、運命がそうはしなかった。 巡りあうべきは、広い世界で。 「おねいさんの名前は何て言うんだい?」 「わたしはリルラ。あ、もちろんきみよりは年上だけど呼び捨てでいいからね」 それに、友達なんだし。 その言葉を聞いたアラジンは一層喜んだ。万歳って言って高いテンションで笛を吹いた。良い音色ではない。汚ならしいが音を気にする場合じゃなかった。青い巨人が出てきたのだ。目が飛び出そうになるのを何とか押さえ込み、何だか見知った感覚を感じながらアラジンにこれは?と聞いた。 「ウーゴくんだよ。リルラなら知ってるから二回目だろうけど」 「いやいや、顔がないと普通にわからないよ。体だけ!しかも筋肉むちむち!合わない。ウーゴくんには合わない」 「あ、」 するとウーゴくん(認めたくないが)は体育座りをして背を向けた。悲しいのか、悲しんでいるのか。それは悪かった。ごめんねと謝ればすぐに機嫌は直った。彼とどうコミュニケーションを取れと言うのだ、アラジン。わたしには無にふさわしいんですが。 "眼帯をつけて、きみは旅に出てくれ" 空から声が聞こえた。アラジンは全部は聞こえなかったみたいでわたしだけが確かに聞き取っていた。 「リルラ、何か言ったかい?僕は聞こえたんだけど…」 「ああ、鳥の伝言だよ」 言われた通りに眼帯を付けた。そうだ、白虎たちとアラジンを会わせておきたい。あなたたちが次に降りた世界はこんな夢物語のようなんだって。 「ね、アラジン。これ触って」 アラジンの魔力を使わせるのは申し訳ないがさほど影響は無いだろう。わたしの背中に触った時と同じ指でそれを触った。 「う、わ!」 風が、その場から生まれた。 わたしとアラジンを取り巻くように。ここは神聖なる場を造りたかったのか。二人の空間が出来ていた。 「風の化身だからね、白虎は」 「ふふ、僕には見えないけどリルラは凄いんだねえ」 きっときみをサポートするから見ててね。 → |