ピンク色の髪をした女の子が目の前にいるこの状況。え、カツラ?コスプレ?なんなの、と言えるわけもなく。
「本物だー!ほら、青峰君も来てよ。こんにちは、はじめまして!名前ちゃんの大ファンです!」
外見を見ると、ピンク色の髪だしグラビア並みのプロポーションだし、神様は彼女に二物も与えてるとか。そんな彼女がわたしなんかに、恐れ多い。この人を芸能界に引き寄せたらそりゃ売れそう。だってすごく美人。
隣にたつ男の子はこりゃまた大きい。しかも黒い。目付き悪い。というか何か見定めるような目は止めていただきたい。何でこんな人に評価されなきゃいけないのだ。
「……意外と、実物のほうがいい。あー、胸はちっせえな」
「んもう!失礼だよ、…確かに写真とかで見るよりは可愛いです!」
「…ありがとうございます」
演技よりも外見で食いついてきた二人は珍しかった。素直で、純粋。逆にストレートでいい。胸についてはもう何も言うまい。隣にいる巨乳を基準にしちゃダメ、ゼッタイ。
「これからも応援してくれるとありがたい、です」
カタコトなのはバレてたらしい。思い切り笑われた。でも嫌じゃない。ファンと芸能人、とかいう壁が崩れていくような。楽しいかも。途端にこの出会いが一期一会と言われても嫌なので、咄嗟に、それも自分から彼らに名前を尋ねるという行為をしたのだ。
「な、名前教えてくれない?…ですか」
年上か下かわからないので敬語を添えた。つもり…。そしたら二人とも目をまん丸にしてこちらを見るものだから若干怖じ気づいた。
「私達なんかでいいなら是非…!」
「ほんとなら俺らからお願いするべきなんだろーけど。…青峰大輝、」
「私は桃井さつき!桐皇学園高校に通ってます!」
「別にそこまで聞いてねぇだろ」
「あ、よろし、く…っ!!」
手を伸ばそうとした矢先、視界に黄色が見えた。こちらにやってくる。ああなんて不運なんだ。
「あれ、青峰っちに桃井っちじゃないすか!…名前ちゃんも、」
何してるの?
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