異空間で問う姿は果たしていのりか。
「桜満集は臆病な人?」
いのりはあやとりを手にしながら彼に翳す。迷いのある目にはそれを受けとる勇気などなかった。いのりの言う通りだ。彼は弱く臆病だ。
「なまえは臆病な人?」
今度はなまえに投げ掛けた。いのりはきっと審判を行っている。次の王は誰がふさわしいのか。少しだけ手を伸ばしてみた。けどいのりが翳すそれは意外となまえから距離があって掴むことも出来なかった。全然。なまえも所詮は臆病者なんだ。
ぱっと視界が明るくなった気がした。集が決意したのだ。
「きみは、取らなくていい。…僕がつよくなる!」
一歩、集は駆けた。
そこからどうなったかは明確には覚えてない。確か、いのりの側へと走った集は覚醒して"王の力"を手にいれた。エンドレイヴを切り裂いてく姿は別人だった。ヴォイドゲノムは二人にふりかかったからきっといのりはなまえ達を謀ったのだ。
あやとりを手にした姿は幼い頃の誰かに似ていた。集の姉の、桜満真名。
「…わたしも、つよくなるよ。一緒に」
握りしめた手には暖かい体温。
迷いのない目は真っ直ぐに集を写して。
「僕は王になる」
悲痛な未来の集が頭を掠めたとしても、わたしは生きるんだ。