※お試し刀剣 連載候補 ご都合主義


「爆ぜろ!」
杖を振り、敵のいる位置に狙いを定める。そして唱えれば数個の炎の弾が襲いかかる。私は近接戦が苦手だ。だから遠くからこうやって攻撃する。最近は問題もわかってきたので小規模で済ますようにしている。敵がやけどを負っているところを鶴丸たちが斬りかかる。白い着物を着た鶴丸に少しの火の粉が飛ぶ。

「おい!君の出した火が俺に移るじゃないか。何とかしてくれ」

「ごめん、鶴丸。あとで審神者さんに何とかしてもらって」

何とかとは手入れのことだが、私はそこらへんに関しては本当に前までは無知だったのでなんとも言えない。鶴丸は裾が少し焦げたまま、バッサバッサと太刀と短刀を倒したかと思うと何かを拾ってきた。よくあんな凄い姿形をしたのと戦えるな。だから剣を持って戦うのは足が竦む。

「お疲れ様、ありがとう。えーと、それは」

「みたところ脇差だ。よくこんな炎の中耐えられたな。焼けてもいない」

そう言って渡されて見てみれば鞘くらい少しは燃えてるかと思えばそんなことはなかった。君の力は変なところで万能だな、と笑われた。いや頑張ればあなたの怪我も治せますけれども。でもあのポンポンとした手入れもいいのではないか?私はできないけどな。審神者さんの霊力とやらを貰ってくれ。名も知らぬ脇差を持ち私たちは帰還を目指す。

「一期に見せたらわかるかもな」

「もしかしたら弟かもしれますな」

「それは似てない」

弟の多い一期一振。彼に聞けばもしかしたらとモノマネをしてみた。今日は連れてきてない。たまには鶴丸と二人でもいいかなと思い置いてきました。驚きを追求する鶴丸だが私の鶴丸は更にアクティブ性も加わっている。結構野生に近いのかもしれない。まあ、拾ったからな。野生もアリか。
脇差なら使えるのではないかと考えたが、神様の宿る刀剣はなるべく使いたくない。色々な人間に使われ時を経てやっと宿った付喪神なのだから。

鶴丸国永を使ったことがあるかと聞かれれば答えはイエスだ。この脇差と同じく、彼も拾った刀なのだ。場所、時代は違うが言うなればドロップ。でも誰がなんといおうと鶴丸は私の相棒だ。

「ただいま帰りましたー」
「帰ったぜ」

審神者さんの本丸へと無事ゲートをくぐりもんへと到着。一期が出迎えてくれました。

「お疲れ様です。戦果をお聞かせください」

「短刀3、太刀2、打刀2。少ないけどすばしっこくて散々だったけど余裕の勝利です」

「あとはこれだ。一期、この刀に見覚えはあるかい?」

まずまずの結果を彼に伝え廊下を歩きながら審神者さんの執務室まで行く。今日も無事の帰還で何よりです、とそっと耳元で囁く一期。ああそうだもんな、あまり聞かれたくないよね。鶴丸なんか普通に名前で呼ぼうとするから、せめてよく使うきみ呼びにしてくれと頼んだ。一期よりタチ悪いぞ。


「これは・・・骨喰藤四郎です」

どうやら当たりらしい。






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