アリババくん、きみは勇気ある人だよ。恐れることなんてない。



なまえはアラジンと同じことを言った。彼女もマギのように王を選定するのだろうか。凛とした佇まいに隠された右目。手をアリババに向ければ彼女特有の銀色のルフが辺りに集まり始め、まさか本当に選定し始めた。すうとなまえの眼が細くなる。真実を明かす合図。



「善と悪が世界にはあって、アリババくん…きみが目指すのは憎むことない世界。つまりアル・サーメンを倒すことだって。知ってるよ」


前にアラジンと月夜の下で交わした新たな決意をなまえは知っていた。ああ、その真実を視る眼の力かなんて遠くから思った。



「アリババくんはアラジンのいう通りまっすぐで潔いね」


「そんな、ことねぇよ…」


「綺麗な正義を掲げてる。アリババくん、わたしはね、その狭間にいるんだ。ウーゴくんに言われた、ソロモンの陽であるのか根源の魔女であるのかはわたし次第だって。…わたしは奴らを許せない、だから、陽であるしかないんだ。もし、わたしが堕ちてしまったら、汚すのは嫌かもしれないけど……殺してね」




物騒なことを笑顔で言い切るなまえ。冷や汗が伝うのがわかる。アリババは酷く動揺していた。もしもの場合がリアルすぎて怖いのだ。




「何言ってんだ!…そんなのっ、俺には出来ねぇ…!なまえは大切な友達だ!!アラジンだってモルジアナだってそう思ってる!だから言うな、!」


彼女がゆっくりと目を見開く。もう失いたくないと彼は言った。これではカシムの二の次になってしまう。だったら、



「…うん、じゃあ。もうちょっと頑張ろうかなぁ。」




わたしが陽の中で生きていていいのなら。どうしてソロモンはわたしを陽に選んだのだろう。悪に染まらないためなのかな。

当たり前だ!!ずっと頑張れよ!アリババは泣いていた、でもすぐに笑った。

どうして彼はこんなにも綺麗なんだろう。真っ直ぐで他人のために命を削るような真似までして。そんな彼だから惹かれたんだ。いつかなまえがアリババに云えたら。そのとき彼はどう反応を示すか。未来はそう遠くない。









「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -