馬鹿じゃねーの。

誰なんだろうか。目の前で仮にも恋人という関係であるわたしに見たことない目付きで罵るのは、
誰なんだろうか。黄瀬涼太の本性が今になって見えた気がした。
遅かった。黄瀬を好きになったのはやはりそこらへんの馬鹿女と同じ外見からで。それから後付けするように、性格も含まれていった。モデルでスポーツ万能、スペック良し。文句なしのパーフェクトボーイ。そんな黄瀬を誰もが欲しがった。見て!この人が私の彼氏なの!と自慢気に。黄瀬にとって女は価値のあるものなのか。女癖が悪いとも聞く。誰も黄瀬が性格悪いと思わなかった。それもそうだ。だって黄瀬は仮面を被ってる。わたしにも暴かれたことない仮面。剥がれ落ちたとしたらまさに今なのだ。



「おせぇんだよ。アンタも所詮そこらの女と変わらないんだわ」




本当に黄瀬を好きになった理由を間違ったと思う。もっと普通の友達として接すれば結末は良かったんだ。とにかく同じにされるのは嫌だ。何かを言おうとするとき異様に喉が乾く。黄瀬に飽きられないために、わたしができることは。





「もう一回黄瀬を好きになる。」


黄瀬に恋する。好きになる。リスタートしてもいいですか。報われなくても少しでも残ってくれるなら、




馬鹿じゃねーの。
同じ言葉を返した。







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